![]() ![]() 「あと5分、あと10分この絵を描き続けていたい。生きて帰ってきたら必ずこの絵の続きを描くから」。日高安典さんはモデルの恋人にこう言い残して出征し、ルソン島で戦死した。27歳だった。 ![]() 長野県上田市の「無言館」には、戦没画学生の絵画約700点が展示されている。戦後68年が過ぎ、作品の傷みが年々激しくなってきた。日高さんの弟の芳典さん(92)をはじめ、高齢化した遺族は、自分たちが亡くなった後も作品が守られることを願っている。 入館者が減って財務状況が厳しいなか、館主の窪島誠一郎さん(71)はこれ以上の作品の劣化を食い止めようと、絵の修復だけに特化した「絵繕い基金」を設立した。 ![]() 修復家の山領まりさん(78)にとって、「裸婦」を描いた日高さんは自分の兄や姉と同世代にあたる。「戦後、幸福にも教育を受けるチャンスを得た私が、兄や姉の役に立つ時がきた」と話す。 戦没画学生が遺した“命の証”にかける、それぞれの思いを取材した。 ![]()
制作:TBSテレビ
取材:西村 匡史 |
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