![]() ![]() 「バカとは何よ!バカに介護されるあんたは大バカ!」高い声が会場に響く。「胃ろう」「認知症」「デイケア」「介護保険」「ホスピス」…。およそ高座に似つかわしくない言葉が次々に飛び出す。語るのは女流講釈師の田辺鶴瑛さんだ。介護現場にありがちな矛盾や制度の不備、そして自らの介護体験をコミカルに語る。これが鶴瑛さん独自の『介護講談』だ。 ![]() 昭和30年、函館生まれ。大学在学中に実母が寝たきりとなり、介護の日々が続いた。その母が亡くなり結婚、娘が生まれる。幸せな日々が続くと思ったら今度は姑が倒れ、再び介護の日々。「私のようにいやいや介護をしながら辛い思いを抱え込んでいる人がたくさんいる。だったら一緒に笑い飛ばしちゃえ!」と飛び込んだのが昭和を代表する講釈師、田辺一鶴の門。これが「介護講談」・田辺鶴瑛誕生のきっかけとなった。 ![]() いま、全国から声がかかる介護講談。終了後の懇談会では堰を切ったように体験談が飛び出す。鶴瑛さんは熱心にメモをとりユーモアあふれる介護講談へと転化させる。時に繰り出すブラックな語り口も、聞く側が介護現場の当事者だからこそ笑える部分も少なくない。 ![]() 一人娘が「田辺銀冶」として、鶴瑛さんの門人として修行中。介護講談の行脚は時として二人三脚だ。そんな中、3人目の介護体験。今度は舅を自宅で介護した。そしていま、初めての試みを始めた。介護体験、介護・医療情報を判りやすく伝えるための発信基地を作る。その第一歩として、自宅で地域の人たちに向けた定期的な講談の会を開く。区役所に後援を求め、自宅に高座を作る準備が始まった。 ![]() 一方、自身の介護の日々は更に続く。隣に住む叔母が認知症になり病院に入院。そこでの日々に疑問を感じた鶴瑛さんは、慰問に訪れたことのある特別養護老人ホームの施設長を訪れた。そして…。 ![]()
制作:TBSテレビ
取材:岩城浩幸(TBS報道局) 構成:清重宗久(TBSプロネックス) |
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