東日本大震災発生。そして、巨大な津波が故郷を破壊しつくす様をビデオで撮影した人物がいた。岩手県釜石市両石町の町内会長、瀬戸 元さん。瀬戸さんはその映像を報道機関に提供する。さらに各地の大学や自治体から津波の体験者として招かれ、巨大津波の語り部となっていった。 なぜ瀬戸さんは「津波の語り部」となったのか。その原点は、ふるさとに伝わる津波記念碑の教えと、「命てんでんこ」、つまり「津波てんでんこ」という教訓だった。 講演会で瀬戸さんは、2つの教訓を引いて、津波から自分の命を守るためには「鬼とならなければならない」と厳しい言葉を投げかける。では、一人では逃げられないお年寄りなどはどうするのか。町内会長として瀬戸さんは町内の要援護者を全員避難させることができた。その理由は津波記念碑の教えから実行した15分ルールだった。 今回の津波では、多くの警察官や消防団員も命をおとしたが、岩手県宮古市のある消防団は、瀬戸さんと同じ15分ルールを実践したことで、犠牲者を出すことはなかった。 津波から命を守るために、瀬戸さんはふるさとに伝わる津波の教訓をどのように生かしたのか、津波の語り部となった町内会長の言葉を追った。
制作:TBSテレビ
取材・構成:天野教義 |
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