病に体の自由が奪われゆくとき、記者は、何を伝えることができるだろう。

山陰放送・谷田人司記者（50）は、神経難病・ALS（筋萎縮性側索硬化症）に侵されている。意識を保ちながら、全身が動かなくなっていく、原因不明の病で、効果的な治療法はない。

谷田記者はカメラの前でこうレポートした。
「原因がわからないALSは誰にも発症する可能性があります。ゆえに実は、すべての人の問題だと言えます。しかし、療養環境が不備であったり、取り巻く社会の理解が不足していると、それは不幸だといえるのではないでしょうか。そうならないためにも、一人でも多くの人に、少しでもALSについて知っていただくことが、たとえ、ALSになっても、前向きに生きていける社会作りの第一歩につながると、信じています」

病が進行する中、家族との絆を深め、ALSを取り巻く社会環境を変えようと“現場”にこだわり続ける谷田記者。その２年間の記録。