![]() ![]() ![]() 京都の立命館大学考古学科の発掘成果の中に、奇妙な形の陶器がある。 陶器製の「手榴弾」や「地雷」の弾体だ。大戦末期の1944年から45年、有田、信楽など伝統的な陶器の産地で作られ、沖縄や硫黄島などで使用されたものだ。 ![]() その陶器製手榴弾が京都でも作られていた。今は使われていない登り窯で、大量の弾体が見つかったのだ。 場所は清水寺に近い五条坂。「京焼」の伝統工芸技術が、軍用に使われていたのである。陶器が専門の木立雅朗教授が行きあたった意外な「発掘品」だった。 意外な発見はそれだけではなかった。 ![]() 外国人がお土産に買っていくのを見て、何とか流出を止めたいと思い立ち、収集を始める。その中から、韓国併合を祝う図柄が見つかった。韓国併合を「おしゃれ」に楽しみ祝った歴史を忘れてはいけないと、木立教授は言う。 京都では今も、「武器」が発掘される。 ![]() 戦火を免れた街、そして古都の華やかな一面が、実は「軍都」だった。その歴史を発掘して、記録していかないと京都の歴史に空白を作ることになる。木立教授は学生たちに、近現代の京都から眼を逸らしてはいけないと強調する。 長く首都であり続けた京都の歴史は、応仁の乱に始まり「引き続く戦争の歴史」でもあった。「全てを包み込んで評価するためには、歴史をあるがままに記録することを避けてはならない。 ![]() 日本に京都があって良かったという時、同時に負の遺産も抱きかかえなければならない」、「伝統工芸が戦争と無関係でいられなかったことの意味を考えるべきだ」と語る木立教授。 京都の近現代に眼差しを向ける異色の考古学者と歩きながら、古都の等身大の姿とは何なのか考える。 ![]()
企画・報告:岩城浩幸
取材・構成:清重宗久 |
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