![]() ![]() 糸数猛(いとかず・たけし)さん(32)は、3年ほど前に絵を始めた。きっかけは入院中の作業療法。19歳で統合失調症を発症して以来、入退院を繰り返してきた。調子の悪い時は、「死ねば?」などの幻聴が聞こえ、自分の存在を否定する気持ちにとらわれる。 絵は大事な自己表現の形。ある自画像は、大きな眼が印象的だが口が描かれていない。それを描いた時、言いたいことを言葉にできない、まるで口が消えてしまったような状態だったという。 猛さんは、胸にいつも“苦しみ”を抱えている。 『イモムシがさなぎになるように、宇宙的な何か…「気づき」が必要なのです』と彼は言う。 今夏、沖縄県那覇市の小さなギャラリーで個展を開いた。彼は今、絵を通して人とつながり、仲間を広げようとしている。それは、「気づき」の手がかりになるのだろうか…。 猛さんの日常に密着し、その心の動きに寄り添いながら、小さな変化を捉えるとともに、彼を取り巻く家族や支援者を通して、病気と向き合うこと、共に生きることの意味を考える。 ![]()
制作局:RBC
担当ディレクター:原 義和 |
■ バックナンバー
|