![]() ![]() 瀬戸内海の島にあるハンセン病国立療養所・長島愛生園から、入所者の生の声が録音された数十本のテープが見つかった。そこには、入所者が療養所での自らの体験を語った、貴重な証言がおさめられていた。 「釣りをしただけで監獄へ入れられた」 様々な証言を記録していたのは、15年前に亡くなった同じ入所者の島田等さん。園内きっての理論派だった。島田さんは、生前、山陽放送の取材の中で「なぜ日本は、世界の趨勢だったノルウェー方式のハンセン病医療政策をとらなかったのか?」と日本の強制隔離政策を批判していた。 ノルウェーでは、ハンセン病の患者についても、他の病と同様に、自宅療養を認めただけでなく、入院した患者も治れば帰宅させた。患者の人権も尊重されたという。 ![]() 世界の模範となったノルウェーのハンセン病政策、日本のメディアとしては初めて、その現地を取材した。 そこで、らい菌を発見し、ハンセン病の克服に尽力したハンセン医師が司法の場で裁かれていた事実を知る。菌を培養するため人体実験をした罪に問われ、医師の免許を剥奪されたのだ。「患者の人権が重要視された判決だ」とノルウェーのハンセン病研究者は言う。 また、ハンセン病だった親や兄弟のことを後世に伝えようという「家族博物館」が、その家族の手で作られていた。「ハンセン病を隠す必要はない」と。 翻って日本では、未だハンセン病の入所者は、療養所を終の棲家にしている。入所者の証言を追う中で、ノルウェーのハンセン病政策が紐解かれ、日本とノルウェーの医療政策の差異を描き出すことになった。 ![]()
ディレクター:山下晴海
撮影・編集:宮崎賢 ナレーション:吉永小百合 |
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