1秒の差を追求する速報主義と、時に情報過多と言われるテレビ報道の奔流は、ニュースの「賞味期限」を短くした。その流れの中、「記録」や「検証」という「眼」を、失ってしまったのだろうか。 「ドキュメンタリーの時代は終わった」…いつ、誰が言ったのだろう。テレビ報道に32年携わってきた記者は考える。テレビの有力な番組形態だったドキュメンタリー番組は、いま、表舞台には立っていない。その手法を、すっかり映画に譲ってしまって、テレビでは片隅にいるか消滅の瀬戸際にあるのはなぜなのだろうかと。 そんな中、2009年12月に福岡で行われたJNN九州沖縄ブロックのドキュメンタリー番組、「ムーブ」の年間大賞審査会。決選投票を経て選ばれた大賞と準大賞、その取材と制作に当たったのは、夫々の局を代表するアナウンサーだった。そしてそこには、ベテラン制作者の視線も注がれていた。 女性とアナウンサーがキーワードとも言われる九州沖縄地区。そのドキュメンタリーの眼はどこから生まれ、どこに向かうのだろう。TBS解説委員が、 九州・沖縄地区のドキュメンタリー番組制作の最前線を取材し、新しい旗手たちのドキュメンタリー宣言をお伝えする。
取材・構成:岩城浩幸(TBS報道局解説委員)
「ムーブ」の2009年大賞作品は今年の1月、「報道の魂」で放送した「未来へのノーサイド」(RKB毎日放送制作)、準大賞作品は3月に放送した「ひとりじゃないよ」(Rkk熊本放送制作)で、その後JNN各局に配信され全国各地で放送されました。 こうしたJNN系列全体でのドキュメンタリー番組共有を目指す試みを今月からは定例化し、各局制作の作品を毎月放送していく予定です。また、各地でも放送されることになりますが、日程や番組名はそれぞれに異なります。 関東地区以外での放送予定は、各地のJNN各局のホームページなどでご確認ください。
JNNルポルタージュ「報道の魂」プロデューサー
岩城浩幸・秋山浩之 |
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