![]() ![]() 今年1月、イスラエルがパレスチナ自治区ガザに対し行った大規模な攻撃の記憶も、日本ではそろそろ薄れてきたころかもしれません。一方で、パレスチナといって真っ先に思い浮かぶのは、やはりあのガザ攻撃のように、おびただしい死傷者が出ている場面でしょう。何年もの間、衝突が繰り返され、和平交渉がいっこうに進まないパレスチナ問題。 こうした既視感や停滞したイメージが手伝ってか、ともすればこの問題は、“暴力の応酬”や“憎しみの連鎖”といった安易な構図で解釈され、解決に向けた糸口すら見失われがちです。パレスチナ問題がこうした構図で語られるとき、忘れ去られてしまっているのが、問題の根底にある「占領」…イスラエルがパレスチナを占領しているという事実です。逆に、この「占領」を見つめ直すことによって、何らかの光明が見えるかもしれません。 そんな折、「この地域に平和をもたらすためには、イスラエルは占領をやめなくてはいけない」と考える若者達がイスラエルの中から現れました。パレスチナ人の反発を力で抑え込む占領政策の現場で、その反発の矢面に立たされた元イスラエル兵です。これまでイスラエル側から語られることのなかった“占領の闇”について“沈黙を破り”ました。 ![]() 彼らは、兵役という国家システムの中で、ある時は命令されるがまま、ある時は疑問を感じながら、またある時は思考を停止して行った任務について、その非人道性を告白し、占領されているパレスチナ側の悲劇について語ります。そこで起きていることを知ってもらうことで、占領を終わらせ、和平につなげたいと訴えます。さらに、占領地で兵役を続けるうちに人間的な感情が麻痺していくことで非人道的行為に手を染めてしまう恐ろしさについて語り、これが世界中のすべての軍隊に起こりうる普遍的な問題だとも指摘します。 イスラエル軍による特に過酷な占領体制が敷かれているパレスチナの町ヘブロンを訪ね、兵士が自国の占領政策に疑問を感じるようになった現場を取材しました。
取材・構成 黒河陽平(外信部)
|
■ バックナンバー
|