![]() ![]() 戦争体験の継承―。戦争の直接の体験者が年々減少する中、戦争を知らない世代は、如何にして親たちの戦争体験を受け継ぐべきなのか。ある一家に焦点を当ててみた。 2008年3月3日、桃の節句の日に一冊の本が自費出版された。 ![]() 日比野さん一家が本の自費出版を思い立った背景には、戦後、日比野さんが沖縄への慰霊の旅を100回以上も繰り返したことがある。 「お父さん、なぜそんなに頻繁に、沖縄に行くの・・・?」 沖縄行きを繰り返す父の姿に、娘たちは時に反発し、時に疑問を投げかける。しかし、そんな娘たちが、年齢を重ね父と共に沖縄の戦跡をめぐるうちに、父の思い、父のこだわりが少しずつ理解できるようになっていく。 「父は戦場で心の傷を負った。それを癒すため、沖縄に通う必要があった・・・」。 自宅で寝る時も暗闇を怖がった父。家族より戦友を大事にした父。不可解だった父の姿が、次第に娘たちにも生身の人間として理解できるようになっていった。 そんな家族の心の軌跡を親子で文章に綴ってみた。そして自費出版した。何の宣伝もしなかったが本への反響は大きく、沖縄をはじめ全国の読者から手紙が届いた。 出版から一年、日比野さん一家はあらためて戦争体験を継承することの意義を感じている。沖縄の地を親子で踏みしめる日比野さん一家に密着しながら、父の戦場、娘たちの継承について考えてみる。 ![]()
取材:秋山浩之
撮影:高木しろう |
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