![]() ![]() 言論には言論で応じる時代は終わったのか? ジャーナリストの記事やコメントに対して、書かれた側がいきなり訴訟を起すケースが増えている。しかも巨額の損害賠償を求めるケースが多く、言論活動封じ込め目的?との批判が起こる例すらある。 ヒットチャートで有名なオリコンは、ある雑誌記事により名誉を傷つけられたとして5000万円の損害賠償訴訟を起した。しかも記事の執筆者や編集責任者は訴えず、雑誌の取材先となったジャーナリストだけを訴えるという手段に出た。こうしたオリコン側のやり方に「口封じまがい?」との批判の声もあった。 1年5ヶ月に及ぶ審理の結果、東京地裁の一審判決はオリコン側の訴えを認め、ジャーナリスト個人に100万円の賠償を命じる内容となった。しかし一方で、判決に首をかしげる人も多かった。「裁判所は、口封じまがいの訴訟を、是認するつもりか・・」と。 米国では、言論封じ込めを目的とした訴訟は「SLAPP」と呼ばれ、訴えそのものが門前払いとなることが多い。言論の自由への悪影響を危惧してのことだ。しかし日本の司法界には「SLAPP」という概念そのものがない。審理が長期化すると、訴えられたジャーナリストは裁判対策に忙殺され、勝ち負け以前に疲弊して活動を封じられることすらある。 番組ではオリコン訴訟判決が生んだ様々な波紋について取り上げ、訴訟と言論のバランスをどう取るべきかを考える。
取材:秋山浩之
撮影:若泉光弘 |
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