![]() ![]() 米どころ・新潟。早生品種の地域は、稲刈りのシーズンである。新潟県柏崎(かしわざき)市もそうした地域のひとつだ。農家にとって、年々コメの値段が下がる厳しい状況が続くなか、今年はもう1つ、心配の種が増えた。 ![]() 7月16日、震度6強の揺れが襲った中越沖地震。地震による犠牲者は11人を数え、けが人は1900人に上ったが、何より日本中の目を釘付けにしたのは、柏崎(かしわざき)刈羽(かりわ)原子力発電所から黒煙の上がる映像だった。 火災の消火に手間取っただけでなく、7号機は排気筒から大気へ、そして6号機は放水口から海へ、微量の放射性物質が漏れた。次々と明らかになる原発のトラブルは夏場の観光シーズンを直撃した。 ![]() そして今。30年も原発と共存してきた農家の人々は、コメに影響が出ないと確信している。だが、価格への影響はないのだろうか。 「想定外」の地震・・・。だが、学術的なデータや知見をもとに、以前から活断層の存在を指摘していた人は少なくない。「原発を造ってはいけない場所」と指摘する人は、「心配が現実のものとなった」と語る。 こうした中、原発に影響を与える活断層は見つからなかったと判断していた東京電力が、22年ぶりに原発沖の断層調査を始めた。原発の立地にお墨付きを出したのは国だが、直接の調査を行わない。東京電力が行っている調査を、後日評価するだけである。 ![]() 原発の安全は、誰が守るのか。そして、何をもって再開の扉を開くことができるのだろうか。疑念と不安、揺らぐ経済基盤・・・。街並みや建物が再建されるだけではすまない復興の道。住民の心は複雑だ。 激震を受けた原発とどのようにして共存していくのか、歴史上誰も経験したことのない道に立たされている現地から報告する。 |
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