![]() ![]() 人間の尊厳を守ることとは、人生の最期まで、口から食べることを実現することではないか。 ![]() 東京・新宿にある、歯科クリニック院長の五島朋幸さんは、同じ歯科医である妻の登世子さんと高齢者のための、訪問診療を続け10年になる。地元新宿から杉並、中野、練馬までこれまで訪問したお年寄りは、のべ4000人にのぼる。 在宅介護のなかで最も厄介なひとつは、口腔ケアだといわれる。しかし、寝たきりや障害を持つお年寄りを歯科医院に通院させることは、難しく口の中までは、とても手が回らないというのが現状だ。 ![]() そのため、お年寄りの"口"とは、これまで、触れてはならないものとして放置され、そのため、多くの高齢者が、「食べること」を奪われてきた。こうした現状を、何としても変えたいと、五島さんは、毎日、午後になると、愛用の自転車にまたがり、何軒もの家々を回っていく。 口腔ケアとは、単に、入れ歯の矯正や、口の中を清潔にすることではない。本来、口が持つ機能を維持し、"食べられる口"を実現させ、口を通して、その人の生活を支えていくことだ。 ![]() 病気や様々な理由から、口から食べることが出来なくなったお年寄りたちが、再び、食べられるようになると、実に生き生きしてくる。さらに、口腔ケアとは、在宅の介護者の負担を大きく軽減する支援でもある。 番組では、日本の高齢者が置かれている現実を、口から変えようと孤軍奮闘する歯科医五島さんの、口腔ケアの実践を紹介し、人間として最期まで口から食べ、生きることの意味を考える。 |
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