![]() ![]() 「そもそも少年は更生できるんですか?」本村洋氏は問う。少年法への根源的な疑問である。応報刑を基にする刑法とは異なり、少年法は「未熟な少年」の保護育成を法益とする。8年前、突然妻と子の家族を理由もなく奪われた本村氏。「人を殺してはいけないことがわかっていながら、人を殺めたその未熟さこそが罪だ」と少年法の理念そのものを問題にし、加害少年への死刑を断固として求めている。 少年法への社会の視線が厳しくなったのは、97年の神戸児童殺傷事件からである。犯罪統計とは必ずしも一致しないが、少年犯罪の低年齢化と凶悪化が際立ってきたと世間は受け止めた。そんな空気の中、少年Aを担当した井垣康弘元判事は、司法の現場で少年法を変えた。少年審判の密室性を問題にし、率先して情報を開示してきた。井垣氏が、少年Aの残虐性は脳の未発達によると公表したことで、世間は、少しは不可解な事件がわかった気がしたものだ。しかし一方、遺族が審判の傍聴に参加できなかったことなど、今も井垣氏には悔いが残る。 事件から3年後、少年法は一部改正を見た。刑事処分年齢が引き下げられた。被害者への配慮規定が設けられた。少年審判の事実認定適正化が図られた。十分な改正だったのか。 さらに6年がたち、相変わらず少年の凶悪犯罪は日々の大きなニュースとなっている。 少年法のさらなる改正が必要だとの空気がある。厳罰化への流れ・・・。しかし、それで十分なのか。井垣氏の心残り・・被害者の傍聴・・は未だに実現しない。本村氏は、小手先の改正を否定する。今、少年法をどうするべきなのか。
出演 本村洋 氏 (光市母子殺人事件被害者遺族)
取材制作 秋山浩之、小島英人 |
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