
謎の海洋王国「チャンパ」の宗教的聖地ミーソンは、ベトナム中部の町ダナンから南西へ50km、四方を山に囲まれた盆地の中に静かに眠っている。焼成レンガを積み上げた独特なヒンドゥー様式の寺院が60余りも残っている。 |
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寺院の壁面は、チャンパの人々が信じたヒンドゥーの神々の世界が彫られている。寺院の中にはシヴァ神を象徴するリンガ(男根)や神像が安置されていた。この「ナーガ(蛇神)とヴィシュヌ神像」は現在、ダナンの「チャンパ彫刻博物館」に展示されている。 |
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海のシルクロードに君臨した「チャンパ王国」は、その北に興ったキン族の大越(ベトナム)に追われて南へ南へと逃れながら、やがてミーソンから500kmも南の辺境の地に追いやられた。荒野に残る衰亡期のポー・クロン・ガライ遺跡(ファンラン市)は、悲しみを漂わせて屹立している。 |
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17世紀に滅んだチャンパ王国の末裔たちであるチャム族は、ファンラン市周辺に9万人が住む少数民族。ポー・クロン・ガライ王像は、現在もチャム族の信仰の対象である。 |
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