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7月16日(月)放送
毎日うだるような暑さが続くこの頃。エアコンだけでなく、伝統の技から生み出される「和」の風はいかがでしょうか?
ここは千葉県・南房総市(みなみぼうそうし)にある「房州(ぼうしゅう)うちわ」の工房、「うやま工房」です。
名人と謳われた「宇山正男(うやままさお)」さんが初代。
今は娘の宇山(うやま)まゆみさんと、
弟子の石山好美(いしやまよしみ)さん、
房州うちわの持ち味は「しなやかな風・柔らかい風」。
「房州(ぼうしゅう)うちわ」は持ち手が丸く、「窓」と呼ばれる半円の格子模様が特徴です。およそ60本の竹が格子状に編み込まれています。
材料は房総(ぼうそう)に自生する「女竹(めだけ)」。しなやかで粘り強く柔らかな風を生むと言います。
石山さん「私達が伐ってきた竹はそのまま自然乾燥なので、しなやかさで戻るんですね」
石山さん「こちらは中国の竹なんですけど、割る前にお湯で煮てあるんです、
そうすると水分や脂が抜けて竹が硬くなるので、こういう風に折れてしまいます。硬い竹なので風も硬いです」
自然乾燥させた房州の女竹を使い、いよいよ作業に移ります。その工程数は21。最も工程の多い伝統うちわといいます。複雑なため分業で進みます。
まず「割竹(さきだけ)」と呼ばれる、竹を割る作業から始まります。最初は4等分に、次は8等分に…繰り返し手作業で割いていきます。
ここで大事なのは「均等の厚さで割り続けること」。太いのがあると、そこだけ紙が張りだしてしまい、仕上がりに乱れが生じます。繊細な技を経て、直径1センチの女竹が60本以上の骨組みに。
その束を2つにわけ、左右交互に竹をとり、木綿の糸でまとめていきます。右の束から一本取って編む、そして次に左の束から一本。
これを繰り返すことで、立体的な窓ができるのです。
続いては貼り。厚さ1ミリにも満たない薄手の和紙を両面に貼付けます。一般的な房州うちわには「綿」などの布地を使用しますが、「うやま工房」ではより柔らかい風を生み出すため、骨組みに負担のかからない、薄手の和紙も使用します。
そして骨組みに糊をつけ和紙を貼り付けていきます。一発勝負、薄手の和紙は破れやすいため、何度も貼り合わせる事はできません。
両面に貼付けた後、一日、乾燥させれば完成です。
こうしてできたのが「房州うちわ」。薄い和紙と細く割られた骨が、互いに繊細さを際立てます。扇ぐときには軽くしなやかで、生まれる風はひたすら柔らかいとのこと。巧の技で生まれる日本の「涼」みなさんもいかがでしょうか?