2013年3月13日(水)
橋本です。
昨日、第10話(最終話)のプレビューが無事終わり、
完成したオンエアー・テープを放送部に納品して、
「ハンチョウ6」のすべての作業が終了しました。
最後まで残っていたスタッフも、
デスクの片づけを終えて、夕方解散しました。
去年の夏にシリーズ6の制作が決定し、
バタバタと動き出してから8か月間、
振り返れば、あっという間でした。
いろんなことがあったはずなのに、
過ぎてしまえば、いい思い出しか残っていません。
毎度のことですが、
シリーズの終わりを迎えるときには、
次がどうなるのか、
次のシリーズはあるのかないのか、
私たちにはまったく知らされていません。
ファンメッセージの欄にも、
次シリーズの要望がたくさん寄せられていますが、
すいません……。
私たちにも、わからないのです。
次シリーズをやってください、と言われることは、
大変うれしいし、大変ありがたいことで、
制作者として本当に光栄なことだと、
感謝しています。
しかし残念ながら、
私たちにも次のことはわからない、
というのが正直なところです。
冷たい言い方に聞こえたら、ごめんなさい。
皆さんの気持ちは十分すぎるほど、
わかっているつもりです。
でも、この日記の第1回目にも書きましたが、
船がどこに行くのかを決めるのは組織であって、
船長としてはその指令に従うしかないのです。
もちろん、いざ「出航しろ」という指令が出たら、
全力を尽くして船を出す覚悟はできています。
その時は、よろしくお願いいたします。
今言えるのは、それだけです。
スタッフは解散しましたが、
プロデューサーには最後にひとつ、
大きな仕事が残っています。
それは、最終話オンエアー当日の新聞各紙に載る、
テレビ欄の原稿を作ること。
皆さんは何気なく、新聞のテレビ欄を眺めていると思いますが、
実はあのページは各番組の制作スタッフが何日間も知恵を絞り、
うんうん唸りながら、目を惹くキャッチコピーをひねり出した、
汗と涙の結晶の固まりなのです。
特にバラエティ番組は、
当日のテレビ欄によって視聴率が3%変わる、
と言われているので、
テレビ欄の原稿作りに命を懸けています。
私もバラエティ番組を作っていたころには、
テレビ欄の原稿を決めるためだけの会議があって、
毎週何人もの放送作家さんたちとスタッフたちが、
何時間も、ああでもない、こうでもない、
と激論を戦わせていました。
まあ、ドラマの場合はそこまででもないんですが、
それでもサブタイトルによって視聴意欲が変わると思うと、
原稿作りは緊張します。
「ハンチョウ」に与えられた新聞テレビ欄のスペースは、
全部で58文字分。
この文字数で、番組タイトルから出演者まで表記しなければなりません。
最終話は、「終」という文字も入れなければいけないので、
タイトル、出演者を除くと、残された文字数は9文字になります。
つまり、最終話のサブタイトルは9文字以内で考える、
ということになるわけです。
インパクトを狙えば、
「今夜すべての謎が!」
「衝撃!1億円真犯人」
とかが候補になります。
シリーズ6の最終話という観点に立てば、
「分署設立の真相!」
「さらば押上分署!」
などもあります。
まったく内容はわからないけど、
「今夜衝撃の急展開!」
「驚愕のドンデン返し」
などで驚かすという手もあります。
とまあ、いろいろな候補の中から、
何日もかけて、とことん悩み、
とことん考え抜く作業を続けるのが、
プロデューサーの仕事なのです。
第1話から第9話まで、
毎週、そんな作業を繰り返してきました。
しかし、最終話だけは、
このシリーズを始める前から、
サブタイトルを決めていました。
それは、
「ひとつの命のために」。
インパクトも意外性もないかも知れないけど、
最終話のサブタイトルは、
これしかない、と思っていました。
来週、3月18日月曜日。
「ハンチョウ〜警視庁安積班」シリーズ6、
最終話「ひとつの命のために」。
ぜひ、ご期待ください。