2017年1月21日 夜9時〜
最もよく知られている古代洞窟壁画、ラスコー。今、上野の国立科学博物館では、壁画を実物大に再現した「ラスコー展」が開催されています。坂本三佳さんの取材エピソードとともに特別展の情報をご紹介します。
旧石器時代の人たちが洞窟に描いた動物は、とてもいきいきとしていて現代の人が見ても素晴らしいと感じると思います。今回スペインとフランスでいくつかの洞窟へ実際に行ってみて改めて感じるのは、あの洞窟でこれほどの絵を描くなんて本当に凄い、ということです。壁画があったのは、洞窟のけっこう深く入った所でしたので、そこまで絵を描く道具を持って行き、火の灯りだけであれだけ緻密な絵を描くには、なみなみならぬ根気、そして技術があったと思います。取材では、当時の人たちがどのように壁画を描いたのか教えて頂き、実際に私もやってみましたが、線を描くだけでも簡単ではなく、うまくできませんでした(笑)。
壁画には狩りの対象となった動物たちが描かれている
古代壁画には、主に黒と赤の顔料が使われていますが、ここには赤、ここは黒とちゃんと意識して色を使っていますし、構図も考え抜かれています。現代の芸術家と同じだと思いました。古代壁画には、何等かの実用目的があると言われていますが、描いた人には表現したいという芸術家のような情熱があったように感じます。今回の取材では、旧石器時代の人たちには現代人に勝るとも劣らない知識と技術があったと感じることが多かったですね。数万年前の人類がそうだったのですから、数千年前の人たちが、あの精巧なピラミッドや神殿を築いたのも当然、と思えるようになりました(笑)。
「ラスコー展では、絵の素晴らしさにも感動しましたが
ジェネビーブさんの影響で、図形にも目が行きました(笑)
あれ?ひょっとして!と思う所がいくつかありました」(坂本さん)
■世界遺産 ラスコー展 ―クロマニョン人が残した洞窟壁画―
場所:国立科学博物館
開催期間:〜2月19日(日)まで
時間:9時〜17時、金曜は20時まで
休館日:毎週月曜、2月13日(月)は開館
※情報は2017年1月のものです