2013年1月19日 夜9時〜
世界で最も過酷なレース「ハワイキ・ヌイ・ヴァア」はいかがでしたか?
「ハワイキ」は「伝説の故郷」、「ヌイ」は「大きい」、「ヴァア」は「カヌー」という意味。直訳すれば、「伝説の故郷を目指す、大カヌーレース大会」となるこのレースは、1992年に始まり、昨年で21回目。11月7日にフアヒネ島をスタートし、初日はライアテア島、2日目はタハア島、最終日の3日目はボラボラ島を目指す、全128.5キロもの壮大なレースが繰り広げられました。ここでは担当ディレクターが、今回取材をした選手たちとの出会いや、密着レポートを通して見えてきた、さらに貴重なストーリーをご紹介!
撮影を開始する前に、私は一足先にタヒチに行ってロケの下見を行いました。「ハワイキ・ヌイ・ヴァア」についての情報は日本ではあまり得られないため、直接現地で情報集めをしなければならなかったからです。タイムレースなのか?2日目以降も全カヌーが一斉にスタートするのか?それとも箱根駅伝のように前日のタイムによって時間差でスタートするのか?メンバー6人はただ漕ぐだけなのか?それぞれにどんな役割分担があるのか?などなど、分からないことだらけでした。
特に今回はレースを表面的に取材するのではなく、1つのチームに密着することで、よりこのレースの醍醐味を視聴者の方々に共感していただければと考えていたので、どのチームに取材を申し込めば良いかが最大の課題でした。私と現地コーディネーターはレースのスタートとなるフアヒネ島で情報を集め始めました。しかし、役所に行って尋ねたり、島の有力者に聞いたりしても中々詳しい情報が集まりませんでした。
レースで使われるアウトリガー・カヌーは安定性にも優れ、
広大な海に囲まれて暮らすタヒチの人々にとってはまさに生活の足。
一説には、水上コテージの起源はアウトリガー・カヌーの上に小屋をのせ、
桟橋近くのラグーンに係留し客を泊めたのが始まりとも
番組では、古代の巨大カヌーを発見した日本人考古学者の篠遠喜彦博士を称えた歌、「タオテ・シノト」についてご紹介しましたが、ある時、その歌を作ったアーティストの故ボビー・ホルカム氏の未亡人ドロシーさんと、私たちの泊まっていたホテルのオーナーのオウエンさんご夫妻と、昼食をご一緒する機会がありました。そこでオウエンさんの御子息マヌテア・オウエンさんがレースに出場するという話題になり、詳しくお話を聞くと、マヌテアさんは過去にシングルのカヌーレースでも優勝経験があり、なんとフアヒネ島ではヒーローとのこと。
また、彼のチームは昨年の「ハワイキ・ヌイ・ヴァア」で2位になり、タヒチでは大変注目を集めたのだそうです。彼が所属しているチームこそが番組でご紹介した「マタイレア・ホエ」だったのです。彼らは地元のアマチュアチームなので資金繰りも大変で、Tシャツやケーキを作って売ったりしてレースのための資金を作ってきたという話を聞き、私はこのチームに取材を申し込むことに決めました。
「ハワイキ・ヌイ・ヴァア」で使用されるカヌーは長さ約13メートルのもので、
縦一列に6人が乗り込みパドルを漕ぎます。
スマートなボディーはまさに海のF1カーといった趣