2012年11月10日 夜9時〜
スペインの立ち食い居酒屋バル。現地の人たちは昼食や夕食前に、タパスという小皿料理を食べに来ます。たいていのバルには、スタンドだけではなくテーブル席もあり、ゆっくりと食事をすることもできます。また町ごとに自慢のメニューがあるので、食べ歩きをするのも楽しいですよ。
仲間や友人と語り合うのもバルの楽しみ
小皿料理タパスにはこんな言い伝えがあります。まだ馬車が走っていた時代、お店が気を利かせ飲み物に埃が入らないようにパンでグラスの蓋をしました。さらにサービスでパンの上に生ハムやチーズをのせるようになり、それがタパスになったというのです。スペインのバルでは、小皿料理を「ピンチョス」と呼ぶ場合もあります。タパスとピンチョスの違いを現地の人に聞いたところ、すでに料理したものを寿司屋のようなショーケースに並べたものがピンチョス。もとはバスク地方の習慣だそうです。一方タパスは、注文すると厨房から作りたての料理が出てきます。タパスはアンダルシアが発祥の地だそうです。タパスのお値段ですが、だいたい2〜3ユーロ。立ち食いとレストラン席では値段が若干違います。
カウンターに書かれた白い文字は…?
■セビリア篇
まずは豪華列車の起点であるセビリアから。取材したのは、エル・リンコンシージョという老舗バル。なんと開業は1670年代といいます。スペインが無敵艦隊を擁して、世界で一番輝いていた時代から続いているのですね。お店の雰囲気も、とても独特。高い天井には扇風機がゆっくり回り、壁には中世の図書館のように棚があり、そこにぎっしりとお酒が並んでいます。浜島さんインタビューの2ページ目の1、2枚目の写真をご覧ください。
そしてセビリアの名物タパスは、「ペスカイート・フリート」という海産物のフライ盛り合わせです。魚介は小ぶりのタラ、カレイ、イカ、カタクチイワシなどで、レモン汁をかけて頂きます。あつあつをパクリといくと幸せな気分になります。白ワインと頂くとさらに幸せです!盛り合わせの中に、アンダルシアならではの一品「アボト」があります。これは小型のサメのフライ。サメは臭みがあるので、何種類ものスパイスをオリーブオイルとビネガーに混ぜマリネ液にして、まる一日漬け込み揚げます。そのお味は、白身魚のカレー風味フライといった感じです。このお店では、パプリカ、オレガノ、タイム、ニンニク、クミンなどのスパイスをたっぷり使っているそうです。このように、スパイスを何種類も使って調理する料理法は、イスラム伝来のものだそうです。
アボドに使うスパイス
右下のぶつ切りのフライがアボド
このお店では老舗のバルならではの、面白い習慣が見られます。このページ2枚目の写真、カウンターに書かれた白い数字、実はお勘定。バーテンダーがオーダーの度に値段を追加していきます。何と言う、明瞭な会計でしょう!これは昔からの伝統ですが、今では古いバルだけに残っているようです。
店名:El Rinconcillo エル・リンコンシージョ
住所:c/Gerona 40, 41003 Sevillia