2011年9月17日 夜9時〜
水の力の凄さを実感したのは、クズリア大渓谷です。何億年も水が流れて大地を削りできたという渓谷は、その谷間にいると自分の存在がとてもちっぽけに感じるほどダイナミックでした。人ひとりがやっと歩けるような細い谷間があると思えば、パーッと開けた場所もあって、そそり立つ渓谷の巨大な岩壁には、水の流れが刻んだ線があるのです。ガイドのアザダムさんのお話によると、今も渓谷は少しずつ形を変えているそうです。夏の時期には時々雨が降り、雨が降ると谷底が川になったり、鉄砲水が出て、その水によって大地が削られているのです。私たちが取材をしたときには天気に恵まれましたが、雨が降ると急に谷底が川になることがあるので、安全な避難所となっている島へ行かなくてはなりません。雨が降っただけで避難しなくてはならないほどの状況が起こるとは、ちょっと怖い気もしますが、それほどの自然現象が起きる場所だからこそ、他では見られないようなダイナミックな大渓谷が出来たのでしょうね。 またクズリア大渓谷には、遺跡があります。12年前にウイグル族の青年が薬草を探しているときに、崖に洞窟が掘られていて中に壁画があるのを発見したのです。それは約千年前のものだそうです。壁画は仏教の絵なので、きっと洞窟に籠って修行をしていたのでしょうね。その発見により注目され、クズリア大渓谷の景観も素晴しいことが広く知られるようになったそうです。そのエピソードを含め、とてもドラマティックな絶景だと思いました。
ウルホ魔鬼城では、夕刻が美しいということで、日暮れを撮影したんです。日暮れと言っても日が沈むのはだいたい夜の10時頃。山々がシルエットになって空がオレンジ色に染まっていくのは、本当に美しかったですが、同時に恐怖感もありました。日が落ちるにつれ、気温も下がって寒くなってきますし、音もなく人工的な灯りもありません。撮影ですから、スタッフもいるのですが、闇に呑み込まれそうな怖さを感じました。ウルホ魔鬼城は、夜になると砂漠に吹く強風が、まるで魔物が叫んでいるようだということから付けられた名前だそうです。私は静かな夕暮れだけでも怖かったくらいですから、闇夜の強風なんてとても耐えられそうにありません(笑)。
それを思うと、昔の人たちは本当に凄いですね。長い長い道のりのシルクロードは、歩き続けるだけでも大変なのに、きっと毎日こんな闇やオオカミなどの動物、強烈な風などとも対峙しなくてはならなかったのですから。信じられませんし、想像もできません。今回取材をした場所は、かつて三蔵法師も見た景色だと思われます。今まで三蔵法師は、「西遊記」のモデルになった偉いお坊さん、くらいに思っていましたが、実際にほんの少しですがシルクロードを訪れて、どれほど過酷な旅だったのか多少なりともわかるようになったので、これはもう歴史に名を残すにふさわしい偉人だと心から思いました(笑)。
放送時間を15分拡大してお送りする「世界ふしぎ発見!」1200回特別企画。スタジオには人気ドラマ「渡る世間は鬼ばかり」の出演者も勢揃い!難問に苦戦しながらも、さすがのチームワークを発揮して知恵をしぼります。番組初取材の驚きの絶景と和気あいあいとした楽しいスタジオトークをどうぞ見逃しなく!