金曜ドラマ「MIU404」金曜よる10時

インタビュー:vol11志摩一未役 星野源

Q.印象に残っているシーンを教えてください。

ハムちゃんを井戸から救出するシーンですね。4機捜全員で何かを解決することがそれまであんまりなかったのですが、あの場面には全員揃っていましたから。志摩は一話の前から、桔梗さんの苦しさやハムちゃんとの関係を見続けてきた、かつて志摩とバディを組んでいた陣馬さんもいた。「エトリを捕まえてハムちゃんを自由にする」という桔梗さんの悲願や、相棒の香坂の死に間に合わなかった志摩の、「今回は絶対に間に合わせる!」という強い思いが叶った瞬間でしたね。その中で、恩人のガマさんが逮捕されてぶっ壊れそうな伊吹を支えながら手綱も握らなければいけないという大変さもありました。九重も成川を救うことができて、いろいろな物語がピークに達したシーンだったので、より一層集中して演じられた気がします。
ハムちゃんを救出した後に志摩が伊吹とハムちゃんを抱き寄せたのは台本にはない動きでしたが、感情が高ぶってというよりも、ただ芝居を続けていただけというか、自然と出てきたアクションでした。
ほかにも印象的なシーンはたくさんあって、断トツで楽しかったのは第8話でUDIラボの坂本を演じた飯尾(和樹)さんとのシーン。飯尾さんが台本から解き放たれてかなり自由に演じられていたので、一緒に演じていて楽しかったです。

Q.『MIU404』は星野さんにとってどんな作品になりましたか?

いろいろな意味で忘れられない作品です。絶対に忘れられないですね。
僕は中学に趣味で音楽と芝居を始めてからどちらもずっと続けてきているので、1年の中で両方の活動をしていると、どちらか一方に専念している人よりもキャリアを積むのに時間が2倍かかってしまうんですね。今までは自分の芝居の変化があってもそれは緩やかに変わるものだと思っていましたが、『MIU404』での撮影の前と後では芝居が明らかに変わるんだろうなと思います。
塚原あゆ子監督率いる塚原組は熱量とスピード感がすごいんです。作品をより良くしようといろいろと追及するので、撮影に時間がかかってしまうのですが妥協しない。新井プロデューサーの発想も、野木(亜紀子)さんの脚本も「今までにない刑事ドラマを作るんだ」という気概に溢れていますし、もちろんそれも塚原組の総意であって、その熱量の中で芝居ができたことが自分のキャリアの中ですごく大事なことだったと思います。
そしてコロナ禍のど真ん中に撮影がぶち当たって、一時休止したけれど再開することができて無事に終わることができた。ものすごく感慨深いですし忘れられないですね。

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Q.志摩にとっての伊吹の存在とは?

手がかかるけど、必要な人なんじゃないでしょうか。志摩はもともと課題があった人。捜査一課時代は仕事はできるけど人を信頼せず頼らない。そんなワンマン気質が相棒の香坂の死をきっかけに自分を信用できなくなり、今までの仕事も人間性も全否定されて長い間全く違う部署に飛ばされてしまった。そこから変わったし変わらないといけないと思ったんだと思います。そこに伊吹が現れた。滅茶苦茶な人間を飼い慣らさないといけないという状況のお陰で、無理矢理成長させられていったんじゃないですかね。でも伊吹と相棒を続けてこられたのは、一度も認められたことのない伊吹に志摩が何か光るものを見つけることができたから。大きな大きな挫折を味わったからこそ、それを感じられたんじゃないでしょうか。志摩にとって刑事としての復活一発目の相棒が伊吹ですごくよかったんじゃないですかね。相当な荒療治だと思いますけど(笑)。最初は2話までしか台本がなくて、物語がどうなっていくのか分からなかったのですが、僕自身は1話の伊吹に良さを見出すのが難しかった。だから志摩は人を見る目があるなと思います(笑)。

Q.最終話の見どころをお願いします。

10話が後味の悪い感じで終わっているので、皆さんのんびりといい感じのバディが見られるとは思っていないと思いますが(笑)、伊吹と志摩の関係がさっそくギクシャクしてしまうのが野木さんの脚本だなあと。でも、野木さんのこの物語と登場人物たちへの愛が爆発していますし、「『MIU404』をとんでもない作品にするぞ」という気概に溢れた回なので、油断はできないし、思う存分振り回されてほしいです。ポップコーンとコーラを準備してとか、「ジェットコースターに今から乗るぞ」というワクワクした気持ちで最終話を待っていていただければと思います。

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