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インタビュー

日曜劇場「流星ワゴン」:最終回 2015年3月22日 日曜よる9時〜放送
原作はお読みになりましたか?
ぼくはふだん、「なんとなく知っている」くらいがちょうどいいと思っているので原作を事前に読むことはほとんどないのですが、この作品に関しては、岡山に仕事で行ったときに「原作者の重松清さんがこの辺の出身だったな」、と手に取りました。ファンタジーとしての構図はありますけれど、力があって、自分自身の問題として読めました。
10数年前の作品で、何度も映像化の話が出ながら、何らかの理由で実現しなかったものが、この2015年に今の年齢になった西島さんとぼくでやるということも含めて、必ず成功させなければと気を引き締めました。西島さんとも話しているのですが、映画の「バックトゥザフューチャー」で、未来の世界にいく「30年後」というのが2015年で、まさに今年やることに意味があるんだと思いましたね。
今回、西島秀俊さんと「親子」という間柄ですが、どう感じていますか?

西島さんが息子役をやることは特に違和感はなかったです。一雄は、一人の「敗北者」に近いサラリーマンで、これまでの西島さんのイメージと違うと思います。「父」という世代の上の存在がいる、ある意味チャレンジャーの立場は珍しいですが、西島さんの新しい一面で、とてもみずみずしくて「それでいいんじゃ!」という西島さんに対するセリフが素直に出てきます。
一雄を守って忠雄が大ゲンカをするシーンがあるのですが西島さんが「もうやめて」と言ってくると「あれ、オレの知ってる西島さんじゃない、オレが一雄を守ってやらなきゃ」という気持ちが起こりました。この間まで戦闘シーン満載でどんなになっても力強く帰ってくる人だったのに、今回はぼくのほうがケンカっ早くて、しかも強いんです。
一雄の少年時代は子役の俳優が勤めますが、小さい頃の一雄のシーンの後で西島さんとのシーンを撮ると、自然と「あの子がこうなったんだな」と思いますね。見かけは西島さんでも、「息子」がもう40になったということは、父親である自分はもう70ということで、そういう時間の隔たりを考えると、まさに「未来に戻る」=バックトゥザフューチャーという感覚で、不思議な思いがします。
今回、いろいろな年代を演じられますが、演じ分けなどどうされているんですか?

朋輩の「忠さん」のときは、答えを知っている余裕がどこかありますね。美代子や息子とのことを知っていて、自分がここに何をしに来たかは定かではないけれど切羽詰っていないぶん、ちょっとやわらかく演じています。一方で小さい頃の一雄と接しているときは現実の真っ只中にいますから、余裕なくぎすぎすとした忠雄をやっています。つまり死の床の忠雄、老いているけれど、かくしゃくとしたがんこじじい、それと実際の40何歳の忠雄、それに一雄と同い年になって現れるファンタスティックな忠さん、同じ人物のこんなに違う面を演じることもなかなかないので、一代記として演じている感じです。忠さんは基本的にうるさくて迷惑な人なんですけれど、案外言っていることは正論で、心に響くことも多いはずです。
ほかの共演者の皆さまの印象はいかがですか?奥さま役は倍賞美津子さんですが…
ぼくにとって憧れの方と「夫婦」役で、これだけ聞いたら驚きますよね!でも倍賞さんは年齢とかいろんなものをきちんと受け入れている女優さんで、今回は夫としていつもとは違う接し方をしてくださるのが面白いです。
井川遥さんも20代の頃とは印象が違ってきていて、わかりませんけど何かを捨てたのか、あるいは何かを捨てざるを得なかったのか、不思議な落ち着きを見せています。美代子という役はさびしい人物だけれど、今の井川さんがそこを深く演じて下さると思っています。
吉岡さんは、本当に良すぎるほどいいんです!芝居を通して吉岡さん自身の人生の裏側を表現しているような気がしますね。橋本はやわらかい話し方をする人ですが、この境遇の人がやわらかいだけのはずはない、最後までその部分はわからないかも知れませんが、橋本という幽霊役に吉岡さんは日本で一番適していると思っています。
鞆の浦での撮影をしてみて、どんな印象を受けましたか?

実は10年くらい前に撮影で来たことがあります。あの時も感じたことですが、町並みが古い割りに「今」のにおいがします。建物とかはとても古いままなんですけれど、時間が止まっていなくて、21世紀の時間が流れていると感じられるところがこの町をライブに保たせているんでしょうね。それは、住んでいる方が自分の町を受け入れて愛情を持っている空気が根付いているからでは、と思います。
忠雄さんはその鞆の浦にずっと暮らしていましたが…
忠雄は上昇志向はありますけれど、東京とか都会に行かなきゃダメとは思っていなかったと思います。仕事が面白くなってきて、そのうち子どもとそりが合わなくなって、仕事しかしなくなってしまって、息子が後を継がなかったことでさらに仕事に偏屈に向かわせただけであって、進出願望とかそういう意識はあまりなかったでしょうね。
第1話は皆さんと試写をご覧になりましたが如何でしたか?

いいドラマというのは、まばたきもせずに見入ってしまうものですが、本当にまばたきをほとんどせず見ていました。
同い年の親子という関係性や、過去と現在の対比、時空を超えていくところなど演出の福澤さんはとても悩みながら撮っていましたが、映像を見て「さすがだ!」と思いました。監督のアイデアをこれだけの形にしたスタッフにも拍手を送りたいです。
ご覧の皆さんにメッセージをお願いします。
どのシーンも温かい家族愛に溢れていて、確かな日曜劇場がお見せできると思っています。ものすごい負荷のかかっている撮影で本当に難しいんですけれど、一人ひとり、いろんな思いを抱えていても普通に暮らしていけることが幸せなことで、それに感謝できる作品です。ファンタジーという「箱」を使っていてもそれぞれの関係性、問題はリアルで現実です。それをこのドラマの中の「現実」に落とし込むことができていますので、身近な問題として見て欲しいです。同い年の親子が織り成すドラマをどうぞ見てください。

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