第4話 2013年8月8日放送
あやめの誕生日を祝う恭之助
火の点ったロウソクを見ながら歩いてく来るあやめ。
あやめの目線の先…。
闇の中に、鮮やかな『隈取り』が浮かび上がっている。
それはベニヤと角材で作られたヒナ壇のような台の上に、色とりどりのロウソクが並べられたもの。
あやめ「（感動して）すごい…！！」
恭之助「あやめ、ハッピーバーステー！！」
あやめ「河村くん…！」
恭之助「どうよ？俺の自信作！」
あやめ「…これ、河村くんが作ってくれたの？」
恭之助「あやめと言えば、歌舞伎だろ？」
あやめ「…嬉しい…すっごく嬉しい！！」
恭之助「（嬉しく）…」
あやめ「こんなステキな誕生日、夢みたい！ホントに…ホントにありがとう！」
恭之助「おう！」
あやめ「…私…幸せもんだね」
恭之助「…一つだけ言っとくけど、俺は『いい人』だからやったんじゃねーからな。俺は…………」あやめが鼻をすすっているとこに気づく。
恭之助「……あやめ？」
瞳に滲んだ涙を手で拭うあやめ。
あやめ「…」
恭之助「！？おい…どした？」
あやめ「…何でだろ」
恭之助「え？」
あやめ「…私…河村くんの前では、こんなにラクに笑えるのに。ヒロくんの前だと…何でダメなんだろ？」
恭之助「…」
あやめ「…うまく笑えないの…気持ちが空回りしちゃって…どうしていいかわかんなくて…ヒロくんを元気づけたいのに怒らせるようなこと…」
恭之助「…」
あやめ「…こんな私だから…ヒロくんもイヤになっちゃったんだよ…」
あやめを見つめる恭之助、胸がしめつけられて
恭之助「…」
あやめ「…」
あやめを抱きしめたい衝動に駆られる恭之助。あやめの肩に手を伸ばす。
あやめ「…でもね…」
手を止める恭之助。
恭之助「…」
あやめ「…でも…私はやっぱり………」
恭之助「（あやめを切なく見つめて）………」
伸ばした手を降ろし、拳を握りしめる恭之助。
恭之助「……（奥歯をかみしめ必死で耐え）」
恭之助、空を見上げる。そこには降り出しそうな満天の星。
恭之助「……（目を閉じ深呼吸して）」
恭之助、再び目を開き
恭之助「（明るく）ったく、おめーはバカだな！」
あやめ「…」
恭之助「いいか？お前が一弥の前でどうしていいかわんなくなっちゃうのは、あいつのことを本気で好きだからだ」
あやめ「…」
恭之助「それくらい、あいつだってちゃ〜んとわかってるよ。だから…だから大丈夫だ！」
ようやく顔をあげるあやめ。
あやめ「………河村くん……」
恭之助「（ニコっと笑って）…」
あやめ「（救われたように笑う）…」
恭之助「（うなずいて）…」
あやめ「本当にすごい。河村くん、ありがとう」
恭之助「……バカはどっちだ」