2014年7月7日(月)よる8時スタート ※初回は2時間スペシャル よる7時より放送!
社内報「あおぞら」編集部員が足繁く通うほか、物語の重要な場面の舞台としても登場する喫茶室「睡蓮」。その店内には、ドラマ『ペテロの葬列』の物語を暗示する絵画が飾られています。そこで、劇中に印象的に映し込まれる絵画のあれこれを紹介していきましょう。
画面左側、3人の男女が1人の若い男を騙そうとする決定的瞬間を描いた『いかさま師』は、17世紀前半に活躍した古典主義の画家ジョルジュ・ド・ラ・トゥールによるもの。
その表情に初さが残るターゲットとなる男は、自分のカードばかりに注意がいってしまい周りが見えていません。一方、目配せをする2人の女性はというと、その目元や押し黙った表情から、これから仕掛けるという悪意や緊張感が、ビシビシと伝わってきます。後ろ手にカードを隠し持つ男の表情からは、どこか余裕すら感じ取れます。
ラ・トゥールは聖書を題材とした宗教画のほか風俗画を多く手がけた画家で、『いかさま師』には、当時の不道徳な行いと言われた三大誘惑「賭け事」「飲酒」「淫蕩」を戒める意味を持たせていると考えられています。また、ワインを持つ給仕の女性が頭に巻いているターバンは、裏切り者の象徴であるユダを描くときに用いられる“淡い黄色”で描かれています。
この『いかさま師』という作品ですが、同じ構図ながら細部を変えて描かれた2つが存在しています。その2つの絵ではっきりと違うところが、画面左の男が持つカードです。一方はクラブのエースが描かれ、もう一方はダイヤのエースを持っていて、それぞれ『クラブのエースを持ついかさま師』『ダイヤのエースを持ついかさま師』と呼ばれています。『クラブの…』はアメリカのキャンベル美術館、『ダイヤの…』はフランスのルーブル美術館に所蔵されていますが、どちらが先に描かれたのかは、諸説意見が分かれるところだとか。