インタビュー

[第一回]松本照円(照之)役/伊藤英明さん

— 坊主頭はいつぶり?

お坊さんを演じるのは人生初です。坊主頭は中学2年のときにしたことはありました。大人になってからも子供が小さいときに、夏に公園へ一緒に行って、水を浴びたりするときに楽なので短くしている時期もありましたが、それからはずっと伸ばしていました。とにかくお風呂にかかる時間、支度の時間がまったく違う!なので、基本的にはこの長さが大好きです。髪型に違和感はないですよ。でもよく言われるんですよね。「坊主にするの…すごい勇気だね」とか。原作のこやす先生からも人づてではありましたが「ありがとうございました」と言われ…でも、僕自身としては全然!「やるもんじゃないの?」という感じです(笑)。

— 僧侶役の役作り

お経や真言がなるべく自然に出てくるように、毎日聞いて勉強しています。僧侶であり、救命医でもあるので、台本には書かれていない行間や語尾のニュアンスを「こういうときはどういう感情でどう動くか」監修の先生たちに聞いたりしています。
中谷美紀さんやムロツヨシさん、個性的な役者の皆さんとお芝居をするのが本当に楽しみです。医局の中の何気ない医師たちの日常を演じるのも楽しみにしています。
(インタビュー当日は)クランクインしたばかりなので、今はとにかく撮影が楽しみなんです。

— お経の覚え方

トイレや移動中、寝る前、気になったときにいつでも。
いろんな種類の般若心経があるんですよ。キッサコさんというお坊さんは、テクノバージョンの般若心経を披露されているのでそれを聞いたり、初音ミクさんも般若心経を披露しています。
これからの自分の人生においても意味があるんじゃないかなと思っています。今までは雑念や見えない恐怖に侵されていたので、今回は役を通じていろいろなものを得ています。

— チャプレン(神社仏閣ではなく公共施設に属する僧侶)について…

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聞いたことはありましたが、海外の病院や施設にいるイメージでした。
僕の親戚にも高僧であって医者でもある人がいて、この間、ご家族が亡くなられたんですが、もっと寄り添ったかたちで励ましてくれているのかと思ったら「人は輪廻転生。また会えるよ」と言ったらしく、達観しすぎていて驚いていました(笑)。
自分自身、何が恐怖かと思ったとき、死に別れとか生き別れかなと思うんですけど、そういう雑念がやはり自分自身の思考を止めているんですよね…。
このドラマを観てくれた方が、少しでも楽になったらいいなと思ったりもしました。
台本を読んで思い返してみると、日本の「言霊」は大事だなあと思います。セリフ1つ1つに言霊をこめて演じることができたらと思います。

— お経を読んで感じたこと

般若心経は、苦しみから逃れるためのものだと解釈されていて、「この世はすべて空でできていて、目で感じるもの耳で聞こえるもの舌で感じるすべてのものは、あなた自身ではなくて、あなたの目であって耳であって舌である。あなたのフィルターを通しているだけで、あなたが信じなければ何もない」と言われています。そう考えることは、何もしなくていいんということではなくて、生きるのはすごく大変なこと。生きていれば辛いこともあって、見えない恐怖や雑念によってエネルギーが奪われてしまう。そういうものから、解放されて生きやすくするためのお経なんです。そのほかにも、大日如来の「すべての災いから逃れ、宇宙とつながって幸福をもたらす真言」や、不動明王の「迷いや厄を断ち切る真言」など、お経の種類はいろいろあります。最近は、自分が迷ったら真言を唱えるようにしています。言霊なので、それを唱えるだけで変わるのではないかなと思っています。
昔聞いたことないですか?水に良い言葉を投げかけると、水の分子が綺麗になる。そして、人の体は水でできているので、自分自身が悪い言葉をかけると、自分自身の水の分子が崩れると。言霊を実感しています。お経は唱えられてから何千年と変わってないんですよね。すごいことです。

— 作品における僧侶と医師の割合い

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僧侶が圧倒的に多いのでしょうか。主人公自身、助けたいという煩悩と恐怖があるからこそ医者をやっているんじゃないかな。彼は煩悩と常に戦っていて、答えがずっと出ないんだろうなと思います。
彼は人に入り込み過ぎちゃうんですよね。救命監修の林先生も言っていましたが「救命は助けた人には二度と会わない」と。誰が治療したかもわからないまま、別れてしまうそうです。人に寄り添っていたら、心が引き裂かれていっちゃうのだろうなと感じました。搬送される方の中には、自殺した人も来るし、さっきまで普通に会話していた人が交通事故にあってしまったとかもあります。そこから残された家族や知人に対して寄り添いすぎてしまったら、心が持たない。けど、この主人公は、寄り添って…寄り添って…命つないで全うさせたり、亡くなったとしたら、その人の残された人生を全うさせてあげている。
手探りでまだわからないことが多いですが、終わる頃には僕も立派なお坊さんになっていたらいいなと思います。僕たちの仕事は、人の評価で生きているところがあります。
常に自分は自分、人は人だと思って考えて楽に…というのを少しでも表現していけたらいいなと思います。

— 意気込み

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「よくこの年齢で主演に抜擢してくれた!」と思いました(笑)。
とにかくやるしかないです。期待に応えられたらいいなと思っていますし、
本当にやりたいなと思いました。今までの医療ドラマと違い、たくさん人が亡くなりますが、医者として命を全うさせて、亡くなったひとに対して何を残すか、残された人に対して何ができるかを考える患者に寄り添う医者を演じます。

台本を読み進めるごとに、自分にとって意味がある作品だなと思いました。

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