この差って何ですか?

2021年2月9日(火)

愛されチェーン店(モスバーガー・ガスト)の昔と今の差

専門家:杉山雅規(株式会社すかいらーくホールディングス 生産開発グループ)、寺本和男(モスバーガー 第一商品開発グループ グループリーダー)、花島慶彦(株式会社すかいらーくホールディングス 広報室)、樋上悦也(ガスト商品開発)

この差は…
「人気商品」を絶えず改良していく結果だった!
「モスライスバーガー」が誕生したきっかけは、「国の要請」だった!

今大注目の2つの愛されチェーン店の昔と今の差!

以前、この番組で紹介した大手回転寿司チェーン「スシロー」!それぞれの寿司ネタに精通するスペシャリストをヘッドハンティング!例えば、一番人気のまぐろの赤身は、まぐろの種類をグレードの高いメバチマグロに変え、中でも希少な部位天身の身を厳選!スタジオで試食したところ、「うわー、これは違うわ」や「食感まずぜんぜん違う、まぐろの風味が強い」といった声が!
さらに、圧倒的なコストパフォーマンスで人気を博す天丼チェーン、「天丼てんや」では、衣に使う粉にタピオカ粉を混ぜることで、剥がれにくい衣を実現!
そして今回は!デリバリー、テイクアウト需要が高まる今大注目の2つの愛されチェーン店の昔と今の差をご紹介!

「モスバーガー」の誕生とは!

まずは「モスバーガー」。その誕生は、1972年。東京は板橋区。成増にあった八百屋さんの倉庫の一角を借りて、たった6畳のスペースからスタート!創業者は櫻田慧さん。証券会社の駐在員としてアメリカで働いていた彼は、現地のハンバーガーショップ「トミーズ」で食べた、チリソースがたっぷりのハンバーガーに感動!その後、日本でも「こんなハンバーガーを出したい!」と「トミーズ」で修業。そして、そのチリソースを、日本人に親しみのあるミートソースに替えて、「モスバーガー」を生み出した!
1972年に誕生した「モスバーガー」に続き、翌1973年には、今でも人気の「テリヤキバーガー」が誕生!実は、今でこそ一般的な「テリヤキバーガー」だが、大手チェーン店で出したのは、「モスバーガー」が初!当時、大人たちは、和の「照り焼きソース」と洋のバンズの組み合わせを敬遠していたが、新し物好きの女子高生の間で評判に!文化祭に出店したことで、口コミで話題となり広まっていった。
アメリカ生まれの、「ハンバーガー」が、まだ日本で珍しかった時代に、とにかく和のテイストを意識したメニューを次々と開発してきた「モスバーガー」。その象徴が、1987年に誕生した「モスライスバーガー」!!「バンズ」ではなく、「ごはん」で具材をサンドする超・画期的なバーガー。

「モスライスバーガー」が誕生したきっかけとは?

実は、この「モスライスバーガー」が誕生したきっかけは、なんと「国からの要請」とのこと!当時、日本人が主食にするお米の消費が減っていく時代背景と、創業者が外食団体の要職に勤めていたこともあり、国から、日本の主食であるお米を、なんとか外食産業で使って欲しい。そして、農家を支援したいという言うのが、創業者の想いにあったことも重なり、開発がスタート!
しかし、当時、お米を使った新メニュー作りは、ひと筋縄とはいかなかった!ひき肉にごはんを混ぜて、バンズで挟んだり、さらにソースにごはんを入れたりと、試行錯誤を繰り返すも、納得のいくメニューは、なかなか生まれなかった!
しかし、あるご当地グルメとの出会いによって、ごはんで具材を挟むという発想が生まれた。そのご当地グルメが「名古屋の天むす」!当時、注目したのが、「おにぎり」で、「梅干し」や「鮭」と「おかか」など。その中で「名古屋の天むす」が、唯一中身の具材が際立っていて、そこで初めて、お米を中身に使うんじゃなくて、「お米で挟む」ここに着目した。
そして、もう1つ、開発のヒントになったのが、実は、「焼きおにぎり」!炊いたごはんを、そのまま成形するのではなく、「焼きおにぎり」のように、しょう油を塗って焼きかためることで、型くずれしない、「ライスプレート」が完成!そして、具材に選んだのも、和のお惣菜、「とりつくね」。こうして、開発を始めてから、およそ3年!ついに「とりつくね」の「ライスバーガー」が完成!ガッツリ食べたい男性はもちろん、女性にも大好評!定食屋に入ることに抵抗がある女性でも、「モスライスバーガー」なら、手軽でお洒落に「ごはん」と「おかず」を食べられた。そして、現在に至るまで、実に40種類以上の「ライスバーガー」が誕生!
まずは、1990年に「きんぴらごぼう」を「ごはん」で挟んだ「きんぴらライスバーガー」!さらに、焼肉定食を「やきにくライスバーガー」に!続いて、1999年には、「豚のしょうが焼き定食」を「ライスバーガー」に!そして、2006年には、「かつカレー」も「ライスバーガー」に!さらに、2013年には、なんと「サバの味噌煮定食」を「ライスバーガー」に!赤味噌ベースのタレに、とろみをつけて、しっかりサバに絡ませる、そういう工夫をしているとのこと!2014年には、「朝のライスバーガー」という意外なメニューも誕生!朝食の定番、「ごはん」、「焼き鮭」、「昆布」が「ライスバーガー」に!豚汁と漬物も付いて、朝食代わりになると大ヒット!その後も、ご当地グルメをライスバーガーにするなど、常に新メニューを世に送り出してきた「モスバーガー」!現在、販売されている「ライスバーガー」は、ロングセラーの「焼肉」。そして、イカ・海老・野菜のかき揚げを、塩ダレで味付けした「海鮮かき揚げ」。
「ライスバーガー」以外にも、「バンズ」の代わりに「レタス」で具材を挟んだ低糖質バーガー「モスの菜摘」など独自のメニュー作りで確固たる地位を築き、今や全国におよそ1,300店を構えるまでに!
最後に、「今後、どのような商品を開発したいか?」との問いには、「生のモノを扱いたい!すごいハードルは高いけども、海鮮丼のライスバーガーに、是非トライしたい」とのこと!「モスバーガー」の挑戦は続く!

「ガスト」の誕生とは?

続いては、「ガスト」。その誕生は、1992年。当時は、バブル崩壊の真っ只中!お金に余裕が無いと、中々外食できない。そんな時代に「全てのお客様に、気軽に食事を楽しんでもらいたい!」と、低価格設定のファミリーレストランとして誕生!当時、ハンバーグを外食で食べようとすると、900円前後が一般的でしたが、「ガスト」では380円で提供!
さらにお客さんを第一に想うガストは、値段だけではなく、様々なファミレス初となる、サービスをスタート。
例えば、1992年、今やファミレスの大定番「ドリンクバー」を導入!実は、ドリンクバーは、「ガスト」が生みの親!たまたまカウンターに置いてあったコーヒーのポットをお客様ご自身が注いでいるのに気づいて、お好きなものをお好きなタイミングで、好きなだけ飲める「ドリンクバー」のサービスを提案!また、1993年には、わざわざ大声で店員さんを呼ばなくて済むように「呼び出しベル」を導入!1998年には、食事に出かける間もないほど、忙しい方のためにと
当時では珍しかった、「宅配サービス」をスタート!
2013年からは、「内装」を大幅リニューアル!それまでは仕切りのない、開放感あふれる店内だったが、お客さん同士の会話が気にならないように、半個室風の席にチェンジ!さらに、2017年には、一人で利用する方が多い一部店舗で、コンセントも完備したお一人様席を導入!このように、今やファミレスで常識となっているサービスを次々と生み出してきた「ガスト」!

「ガスト」の人気メニューランキング・トップ5とは?

もちろん、サービスだけでなく、主役である料理もファミレスの先駆けといえるメニュー商品を次々と開発!その一つが、不動の人気No1の「チーズインハンバーグ」!実は、その「チーズインハンバーグ」が気付かぬうちに進化!その陰に「ミスターガスト」の存在が!まずは、「ガスト」の人気メニューランキング・トップ5を発表!
第5位!ふんわり卵と、ホロホロのビーフの組み合わせがたまらない!「オムライス ビーフシチューソース」(699円・税抜)!
第4位は、たっぷり載ったコーンとチーズ、そして表面はさっくり、中はふわふわモチモチの生地が美味しい「たっぷり マヨコーンピザ」(499円・税抜)!
第3位は、玉ねぎをふんだんに使ったシャリアピンソースが柔らか〜いステーキと相性抜群!「ビーフステーキ&鉄板焼きご飯 シャリアピンソース」(999円・税抜)!
第2位は、北海道産のホタテとえび・野菜が入った熱々のあんを香ばしく焼き上げた麺に絡めて食べる「帆立と海老のあんかけ鉄板焼きそば」(799円・税抜)!
そして、第1位が、2008年から発売された「チーズインハンバーグ」(599円・税抜)!ナイフを入れると、ハンバーグの中から·溢れ出るトロットロのチーズ!

不動の人気No1の「チーズインハンバーグ」の進化とは?

人気No1の「チーズインハンバーグ」のガスト社員もオススメの食べ方は、ハンバーグをくりぬいてチーズフォンデュみたいにする食べ方!めるるさんも実践している食べ方で、中のチーズに付け合わせのポテトをつけても良し!ソーセージをつけても良し!さらに、チーズの中にご飯を入れて、「粉チーズ」と「ブラックペッパー」をかければ、「チーズリゾット」風にも!
そんな「チーズインハンバーグ」。実は、全国展開するファミレスで、いち早くメニューに取り入れたのが、「ガスト」!まず、全国で提供できる量を作るため、チーズを一つ一つ手作業で入れる工程を機械化する際にヒントにしたのが「中華まん」!系列店の「バーミヤン」で使用していた肉まんの「あん」を詰める機械!中に餡を入れた筒状の生地をカッターで切り落としていく機械を使い、ハンバーグの中にチーズを詰めるのに応用!チーズインハンバーグの生産の機械化を実現した!それ以降、全国のガストで食べられるようになり、発売から13年経った今でも、人気ナンバーワンを誇る看板メニュー!
しかし実は13年の間で、気付かないうちに、その味が進化している!ということで、今回は、「チーズインハンバーグ」の「昔」と「今」の差!実は、この不動の人気を誇るハンバーグに、ナイフではなく、メスを入れた男が「ミスターガスト」!品質へのこだわりが非常に厳しくて、ハンバーグの肉の厚み、ソースの塩分や糖度が何パーセントだとか、1mm単位ですべてデータを集めて味の追求をしている。毎日、十枚くらいハンバーグを食べるので、すれ違うとハンバーグの香りするってくらいに、ハンバーグと向き合っているとのこと。その男こそ、「ミスターガスト」こと、樋上悦也さん!
樋上さんの人生は、まさに叩き上げ!17歳の時、系列レストランで皿洗いのアルバイトをしていた所、まかないの腕を買われて、料理人に!その後、別の系列レストランの、料理開発担当に抜擢!人気メニューを次々生み出した!すると今度は、その実績が買われ、「ガスト」の料理開発の責任者へと、上り詰めた!
そして、人気No1のメニューの「チーズインハンバーグ」にこそ、改良が必要だと考えた。それは、「もしチーズインハンバーグ自体の評判が下がったりすると、ガスト全体もしくは、すかいらーく全体の評判を落とすことに繋がりかねない」と考えたため。そして、「チーズインハンバーグ」の「ソースの濃さ」や「とろみ」、「火加減」や「肉の配合」、とにかく徹底的に改良すべき点をチェック!そして、改良の余地あり、と見たのは、とろーりとろける「チーズ」。当初、チーズは伸びれば伸びるほどいいと思っていた。しかし、ある時、お客様が食べているところを観察していると、チーズが伸びすぎているがために、パテと絡みすぎて、まだパテが残っているのに、チーズがなくなっている状況を、目の当たりにした。つまり、最後まで美味しくチーズとハンバーグが食べられていないな、ということに気づいた!
そして、目指したのは、「とろけ具合はそのままに、ちょうどいい長さで切れるチーズ」!毎日ハンバーグを焼き続け、試したチーズの配合はなんと1,000パターン以上!!そして、1つの結論にたどり着いた。それが、「パルメザンチーズ」を配合することによって、チーズの伸び具合がコントロールすること。そう!「パルメザンチーズ」の効果がすごい!実際に、「パルメザンチーズ」を入れた場合と、入れていない場合の差を比べてみると!「パルメザンチーズ」入れない場合は、30cm以上も伸びていたのに対し、入れた場合は、10cmほどで切れた!そう、「パルメザンチーズが加わることで、とろけ具合はそのままに、ちょうどいい長さで切れるように!
さらに、2018年には、チーズの種類をさらに増やし、10種類に!こうして足掛け10年。ついに、納得のいく「チーズインハンバーグ」が完成した!

「ガスト」の「ピザ」の昔と今の差とは?

続いて、「ガスト」の「ピザ」の昔と今の差!一番大きな差は、「生地の伸ばし方」!
昔は、「ホットプレス」で、温度を上げたプレス機で生地を伸ばしていく方法。丸めたピザ生地を、上から、高温の鉄板で押しつぶすようにして、生地全体を均一に薄く伸ばしていた。しかし、高温であるがゆえに、その時点でもう「イースト菌」だいぶ少なくなってしまい、ふっくらとあがらない!
しかし、今の新しい方法は、「コールドプレス」で、圧力だけで伸ばす!そう、今のピザは、ローラーを使って伸ばすことで、熱が加わらずふっくら仕上がる!詳しいことは企業秘密だが、生地を手伸ばしする動きを再現した機械も開発!およそ2年かけて、ピザ職人が作った様な真ん中は薄く、フチは盛り上がった生地を実現した!しかし、問題が、プロジェクトチームが発足したときは、1億円から2億円という予算でやる予定だったが、最終的には8億円かかってしまった。しかも3億円ぐらいの時には、まだゴールが見えてなかった!本当に大丈夫なのかというプレッシャーは相当な物だったとのこと。
ちなみに、ピザの値段は、前の方が399円(税抜)に対して、新しい方は、499円(税抜)!そして、「トマトソース」や「焼き加減」も全く違う!ただ、「コーン」と「お皿」は同じとのこと。

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