この差って何ですか?

2020年10月20日(火)

昔のカップ麺と今のカップ麺の差

専門家:兼子幸士(エースコック株式会社 商品開発グループマネージャー)、木所敬雄(日清食品株式会社 ブランドマネージャー)、小島裕太(株式会社ペヤングホールディングス 事務本部 製品開発課)、白澤勉(日清食品株式会社ブランドマネージャー)、関雅之(日清食品ブランドマネージャー)

この差は…
「カップヌードル」の差は、「カップヌードル味噌が、和風に路線変更で定番に」
「わかめラーメン」の差は、「わかめを推しに推して増量」
「どん兵衛」の差は、「麺を3層太ストレート製法に」、「今年9月、東日本の出汁をリニューアル」
「日清焼きそばU.F.O」の差は、「モチモチ中太麺に濃厚で香り高いソース」
「ペヤングソース焼きそば」の差は、「45年間、全然変わってない」 かどうか
ロングセラーカップ麺には、美味しく食べ続けてもらうための改良の歴史が!

「ロングセラーカップ麺」の昔と今の差とは?

生存競争が厳しく多くの新商品が誕生する一方で、数え切れない数の商品が消えていくカップ麺。そんな中、今回は発売当初から愛され続けているこの5つのロングセラーカップ麺の昔と今の差をご紹介!

「カップヌードル」の差とは?

まずは、カップ麺の元祖、「日清食品 カップヌードル」!国内年間売上額1000億円を超えるまさにキングオブカップ麺!その誕生は、今から49年前の、1971年。そんなカップヌードルの、まずは「種類」に関する昔と今の差。最初に発売されたのは、醤油をベースにペッパーをきかせたおなじみの「カップヌードル」。さらに、2年後の1973年には「カップヌードル カレー」、1984年には「シーフードヌードル」が発売され、この3商品は今も人気トップ3に輝く、カップヌードルレギュラーメンバー!
その陰で、実は多くの種類が発表されては消えていた。1983年に「ポークチャウダーヌードル」という商品を発売。あと1988年に「ビアンコ」という商品も。こちらはアスパラなどを入れながら、かなりエッジの効いたというかその時代には新しい味だった。さらに、麻婆豆腐茄子やガーリックシュリンプ、抹茶など、これまでに発売したのは、およそ200種類。正直発売してすぐ市場からなくなる商品が多々ある。一瞬は非常に話題もとって売れるが、定番としてずっと売れ続けるようなフレーバーではなく、定番というよりは、話題作りとして商品を導入しているとのこと。そんな中でも定番となれたのは、ピリッとした辛さが癖になる「チリトマト」。1982年の発売以来人気を博し、長きにわたり販売数でレギュラーメンバーに次ぐ4位につけていた!
しかし、昨年、「チリトマト」を抜き4位に上がってきた商品がある!それは、「カップラーメン味噌」!3度目の正直でようやく売れたという日清さんの悲願とも言える商品。最初の発売は1992年、味噌味とはいえカップヌードルの原点は「洋風」。そのため、パッケージも「MISO」とローマ字で味噌と表記をして、チキンとかポークをベースにして、野菜を煮込んだスープで、かなり洋風のテイストで展開した。CMも放送し、最初は売れたが、徐々に売れなくなったとのことで、一旦販売終了。2006年に、「二代目みそ」を発売!「洋風」のこだわりをそのまま継続し、ポトフ風に。みそも比較的さっぱりした味噌味で、こちらもスタートはそれなりに売れたが、やはり根付かずに「ポトフ風」も販売終了。しかし、2019年、「カップヌードル味噌」がついに大ヒット!ヒットの理由は日清さんの思い切った路線変更。今回は、「洋風」というちょっとこだわりを少し捨てまして、ロゴを和風テイストに変えて発売。これまでローマ字表記をしていたロゴを漢字に変更。さらにロゴだけでなくスープも「3種類の味噌」をブレンドしたものに、「生姜」と「ニンニク」を加えた「和風」仕立てに変更。今回は、あえてこだわりを捨て、「和風」で展開。当初は「おにぎり」や「お弁当」と一緒に食べられるミニサイズで販売した「カップヌードル味噌」。その味が評判となり、昨年レギュラーサイズで販売したところ、当初の販売計画を大幅に超える大ヒットとなった!今回3度目の正直で、しっかり定番を残せたので、普段あんまり褒められない、怒られることが多い社長からも、よくやったと言われてよかったとのこと。

「カップヌードルの具材」の差とは?

続いては、「カップヌードルの具材」に関する昔と今の差。「カップヌードルの具材」といえば、有名なのが「謎肉」!正体は、「豚肉と大豆に野菜などを混ぜて味付けしたミンチ」だが、日清さんが材料を特に公表していなかったことから、ユーザーの間で謎肉と呼ばれるようになった。そしてこの「謎肉」にはファンが多く、2009年に「コロチャー」というチャーシューを角切りしたものに変えたところ、「謎肉ファン」から「謎肉を復活させて欲しい」と声を多くいただき、「謎肉」を少し戻し、2019年に「コロチャー」をやめて、全部「謎肉」に戻した!さらに、この「謎肉」人気に乗っかることにした日清さんは、なんと!「謎肉」がこれでもかと入った、その名も「謎肉祭り」を発売!メディアに多数取り上げられ、大いに話題を集めた!
さらに「シーフードヌードル」の具材は、発売以来36年間、「イカ、キャベツ、ネギ、卵にかまぼこ」というラインナップはほとんど変わってなかったが、今年10月19日、新メンバーが加わった!それは「ほぼイカ」!「イカ風味のかまぼこ」。「イカ」が入っているけど、「ほぼイカ」も入れ、ダブルで美味しい!口に入れて噛んだ瞬間に、「ほぼイカじゃん」と思うぐらい「ほぼイカ」とのこと!

「カップヌードル」の「ちょい足しレシピ」とは?

さらに「カップヌードル」といえば、「ちょい足しレシピ」も話題!今回、日清さんが自信を持ってお届け!4種類それぞれのちょい足しレシピをご紹介。
まず、レギュラーの「カップヌードル」に2つの具材、「お酢」と「ラー油」を加えるだけで「サンラータン風カップヌードル」に!普通の「カップヌードル」感は全然なくて、ピリ辛で美味しいとのこと。
続いては、「味噌ヌードル韓国風」。去年、売れに売れた「カップヌードル味噌」に、「ごま油」と「韓国海苔」をちょい足し、そしてちょっと「ラー油」を入れると、「スンドゥブ」みたいな味に!
続いては、「カレーヌードル」を使った「カップヌードル炒飯」。茶碗1杯分の「白米」と「卵」を炒めたフライパンに、あらかじめ砕いて水にひたしておいた一食分の「カレーヌードル」を投入。水分が飛ぶまで炒めたら完成!あのカレーのヌードルは、スープにちょっとトロミがあるのでコメにすごく絡んで、とても美味しいとのこと。
最後は「パクチーヌードル」。「シーフードヌードル」に、チューブの「パクチー」をお好みの量入れるだけ!パクチー好きの方、タイ料理好きな人や東南アジアの料理が好きな人にはオススメ!

「わかめラーメン」の差とは?

続いては、こちらの隠れたロングセラー「わかめラーメン」。誕生したのは、今から38年前の、1983年。カップヌードルの誕生から12年後。世の中は「洋風カップ麺」が全盛の時代。にもかかわらず、醤油味で、わかめが入った「純和風の商品」を売り出した!しかも、発売から大成功!たっぷりのわかめが器に広がっているインパクトと魚介スープとの相性が非常に良かった!
「洋風カップ麺」の全盛の時代だからこそ、「和風は売れる」と確信したエースコックさんは、より和風に近づけるため、わかめラーメンに様々な和風食材を加える。例えば、2006年には、「梅干しがまるごと一個入った商品」を発売。しかし、売れなかった。さらに、2017年には、やはり、あっさりなんだが「大根おろしとゆずコショウ」が入った商品を発売。こちらも、売れなかった。失敗が続くエースコックだが、よく考えてみると「売りはわかめそのもの」と気づき、もっとわかめを楽しんでもらえるようにグラムでいうと、0.5グラムぐらいを増量。この「わかめ増量作戦」が大当たり!SNSで話題になり若者層にも支持され大ヒット!さらには期間限定で発売したわかめを大幅に増やしたバージョンも人気商品に!もうそこまでわかめ増やしたら、むしろ麺いらないのでは?ということで、「麺なしのわかめラーメン」を発売した。ラーメンなのに麺抜いて、実際カップの中に入っているのは、「わかめ」と「かやく」と「スープの素」のみ!食べた人からは、「ラーメンじゃなくてスープじゃねぇか」という声を一部いただいたとのこと。しかし、この麺抜きが意外にも好評。これからもエースコックさんは「わかめ」を推しに推していくとのこと!

「日清のどん兵衛」の差とは?

続いては、「日清のどん兵衛 きつねうどん」。ダシをきかせたつゆに、ちょっと甘めなジューシーお揚げが人気。その誕生は、今から44年前の1976年。当時では斬新だった「丼型の容器」。東日本は、かつおだしをベースに醤油感のあるつゆ、西日本は昆布だしを効かせたつゆと分けて発売したところ、大ヒットに!しかし、最大の課題は、麺!発売当初は「ウェーブ麺」。そこから改良に改良を重ね「うどん本来のつるみとかもっちり感」といったものを表現したうどんというものに取り組んできた。そしてついに2010年に納得のいく麺が誕生!2010年から「3層太ストレート製法」というものに変更!「どん兵衛」の1本1本の麺が3層構造でできている。つまり、1層目、3層目と2層目の原料の配合を変えて、1層目、3層目はつるっとした口当たり、2層目はコシが出るように製麺する方法。さらに、この3層太ストレート製法の「どん兵衛」だからこそできる食べ方がある。それが、「10分どん兵衛」というもの!通常の調理は、5分で、10分経った「どん兵衛」の場合、これまでの麺だと10分経てばのびてしまっていた。しかし、新しい麺の場合、10分経っても2層目のコシはキープしたまま、1層目と3層目にはさらにつゆが絡まって、ツルツル感が増す!さらに、「レンチンするとさらに美味い」との声もあるとのこと。
「カップうどんどん兵衛」は、さらに今年の9月。今度は発売以来あまり変えてこなかった東日本バージョンのつゆを大リニューアル!もともと「本ガツオ」を使った出汁のつゆだったが、この度「ソウダガツオ」というものを加えまして、「本ガツオとソウダガツオのW出汁」ということでリニューアルをした。その結果、「うどん屋さんのスープみたいな純粋な味」するなど好評とのこと。近年、東日本にも「讃岐うどん」など、西日本の出汁の効いたうどん店が進出。人々の好みも変わってきたため、今回より出汁を効かせたつゆにリニューアルしたとのこと。

「日清焼きそば U.F.O.」の差とは?

続いては、昔のカップ焼きそばと今のカップ焼きそばの差。まずは、「日清焼きそば U.F.O.」。モチモチの麺に濃厚で香り高いソースが人気!その誕生は今から44年前の1976年。ネーミングを試行錯誤して、ちょっと煮詰まっている時に、一人の社員がフワッと蓋を投げた時にその飛んでいる感じが、「U.F.O.ぽい」なということで、「U.F.O.」という風に名前が決まったとのこと!
そんな「U.F.O.」の麺は?弊社独特の技術で「3層の太ストレート製法」。「3層太ストレート製法」は、「どん兵衛さん」と同じで、発売当初は「ウェーブ麺」と言い、薄めでウェーブがかかった麺。今の麺というのが「しっかり太くてまっすぐになっている」という形状だが、これによって食べ応えがあり、美味しい!
続いて「ソース」の差。大幅に改良が加えられたのは、2002年。焼きそばのソースが大事なのが、最後の余韻のコク深い甘さをいかに表現するかってところで、デーツ、マンゴーを2002年に加えている。さらに翌年には、パパイヤ、パイナップルを加えて7つのフルーツということで、当時「ごちソース」という風に呼んでいた。さらに2005年には、ローレル、シナモン、黒コショウなど、20種類ものスパイスを投入し、少しスパイシーに!さらに2018年には、鉄板で実際に豚肉、焼きそばを炒めた時のおいしさが、独特の美味しさを、豚肉のコク、旨味っていうのを最近ソースに加えて、パッケージにも「濃い 濃い 濃厚ソース!」と、いかにも濃厚な商品だよと、アピールしている。この麺とソースが組み合うことによって、「最強のカップ焼きそば」になる!
さらに、この「U.F.O.」にも絶品のちょい足しレシピが!卵を入れたソースを別にして、つけ麺のようにして食べるレシピ!ソースと卵が合うので、まろやか感がすごくあるとのこと!

「ペヤング」の差とは?

続いては、「ペヤングソース焼きそば」!まろやかな旨味あるソースと、細い縮れ麺で人気の商品。その誕生は、1975年。屋台の焼きそばをイメージした四角いパケージで発売!驚くことに「ペヤングソース焼きそば」は、45年間、全然変わってない!とのこと。むしろ、この味この食感を守りたいということで、毎日試食を行なっているとのこと。少しの味の変化でお客様が離れてしまうってことがないように、それを防ぐために、ずっと味は変えてない。
しかし、そこで疑問が!?ということは、商品開発の人暇なのでは?実は、いろいろな新商品を開発しているとのこと。「ペヤング焼きそば」といえば、一風変わったラインナップでもおなじみ!これまで、389種類も開発・販売!最近だと話題になった「アップルパイテイスト焼きそば」や餃子をすごく細い麺で食べた味付けした「酢コショウ味」などもある。「餃子に酢とコショウをつけたような味」の商品は、すごくスパイシーでニンニクも聞いているので本当に美味しい!「アップルパイテイスト」は、乾燥のリンゴか入っている。甘いシナモンの香りが本当にアップルパイの味付け。
それにしても、どうして「変わった味」を出し続けているのか?ネットだったりとかすごい話題にしてもらったり、そこでペヤングって商品をみんなに認知してもらうってことで、やっぱりペヤングソース焼きそばが一番だなっていうことを認識してもらうために作っているとのこと!ほかにも、材料などをすごく安くした「ペヤングの偽物」を販売!食べてもらうことで、「なんか足りないな、やっぱペヤング食べたいな」と錯覚させているとのこと!

ページトップへ戻る

関連リンク