この差って何ですか?

2020年8月4日(火)

2大ミステリー漫画『名探偵コナン』と『金田一少年の事件簿』の魅力の差

専門家:井上裕介(NON STYLE)、大井聡一郎(ヒヒ)、水森かおり

この差は…
『名探偵コナン』は、トリックを解くのが面白い
『金田一少年の事件簿』は、動機が泣ける かどうか
今回、『名探偵コナン』98巻、『金田一少年の事件簿』71巻、今まで扱われた329の事件、そして362の犯人、特徴や動機など徹底的に調査!

『名探偵コナン』とは?

まずは、2作品のあらすじから!『名探偵コナン』は、今年で26周年を迎える作品!「少年サンデー」にて絶賛連載中で、現在、単行本はなんと98巻!テレビアニメや映画にもなっている大人気作品!素晴らしい推理を駆使して事件を解決している彼こそが作品の主人公、工藤新一!高校生でありながら、様々な事件を解決する名探偵!そんな彼が、ある日幼馴染で同級生の毛利蘭と遊園地に遊びに行ったときに、黒づくめの男たちの怪しげな取引現場を目撃!しかし、男達に見つかってしまい毒薬を飲まされてしまった!そして、目が覚めると、体が縮んで子どもの姿に!黒づくめの男たちに自分の正体がバレると襲われてしまうと思った新一は、蘭に名前を聞かれると、江戸川コナンと名乗り、自分が新一だということを隠すことにした!そして、自分を子供の姿にした犯人の正体を突き止めるため、父親が探偵をしている、蘭の家に居候し、「江戸川コナン」として、様々な事件を解決していく!謎が解けると、「時計型麻酔銃」を使って、蘭の父親、探偵の毛利小五郎を眠らせ、「蝶ネクタイ型変声機」を使い、小五郎の声でトリックを暴く!「たった一つの真実見抜く、見た目は子供、頭脳は大人その名は、名探偵コナン!」。今、最新刊から最新映画のあたりが黒幕につながり、もう最終回が見えてきている。また、単にミステリー漫画だけでなく、いろんなキャラクター同士の恋愛とか、アクションとか、いろんなハラハラドキドキの色々な要素が入っており、大人も子供も楽しめるエンターテインメントとのこと!

『金田一少年の事件簿』とは?

一方、『金田一少年の事件簿』のあらすじは、ミステリーマンガの先駆けとして、1990年代に一大ブームを巻き起こしドラマ化もされた作品!全シリーズを通して累計発行部数が1億部を突破!現在でも漫画誌「イブニング」で連載中の大人気シリーズ!主人公は。金田一一。ドジで、勉強も運動も平均以下の高校生で、幼馴染の七瀬美雪も呆れるほどの落ちこぼれ!でも、実は、あの名探偵・金田一耕助の孫で、IQ180の天才的頭脳の持ち主。そのため、「この事件きっと解決してみせる名探偵と言われたジッチャンの名にかけて」と、いざとなると、おじいさん譲りの感の鋭さと洞察力を発揮して、次々と難事件を解決!また、この金田一シリーズは、本格ミステリーなので、リアルで恐ろしい描写がすごい魅力!実際にその恐ろしい描写がトラウマ級だと話題になり「Tシャツ」になったことも!

2大ミステリー漫画の魅力の差とは?

今回、『名探偵コナン』98巻、『金田一少年の事件簿』71巻を改めて読み込み、それぞれの魅力の差がわかった!調査の結果、今まで扱われた329の事件、そして362の犯人、特徴や動機など徹底的に調べ上げて、統計を取った。

『名探偵コナン』の魅力とは?

まず『名探偵コナン』の魅力は、誰でも頑張ればその「トリック」を解くことができる!作者の青山先生が記事の中で、「誰にも解けないトリックは描きたくない、誰でも解ける暗号を、いかに誰にも解けないように作るか、種明かしされた時に”なるほど”と思わせられるようなものではなくてはならない」とコメントしている。また、青山先生は、トリックや推理をみなさんに楽しんでいただくために「共犯」を禁止しているとのこと。やはり、犯人がたくさんいると、どんどんストーリーも複雑になっていくので、読者ファーストで、青山先生は共犯を禁止している。
では、ここで「名探偵コナン」になり、実際に漫画にでてきた「暗号のトリック」に挑戦!事件は、赤峰エンジェルフィッシュクラブで起きた。被害者赤峰光里さん。容疑者は、大戸六輔さん、青里周平さん、開田康次さんの3名に絞られた。共犯はないので確実に1人が犯人。現場には、ダイイングメッセージ「サバ、コイ、タイ、ヒラメ」という文字が残されており、ダイバーズウォッチの「FISH」という文字の部分がぐちゃぐちゃとなった状態で遺留品として残されている。この「暗号トリック」は、漢字で、「鯖」、「鯉」、「鯛」、「鮃」と書き、ダイバーズウォッチの「FISH」が消されていたことから、漢字の「魚」を消すと青里周平になる。
続いては、密室に関するトリック。被害者の部屋は、「U字ロック」がかかっていて密室。でもここで被害者が殺されたことは明確なので、犯人は被害者を殺害したあとに、外に出て何かしらの方法で、この密室状態を作り上げた。これは、リボンを使い「U字ロック」自体をつつむようにして、施錠していた。
このように、頑張れば誰もが解けるトリックを考えているという青山先生。番組で統計をとってみたところ、扱われた事件が全部で276件。そのすべての事件は、今まで1回も同じトリックは使われていない!実際に、青山先生の記事では、「トリックにはストックが1つもない。毎回12時間近く打ち合わせして必死でひねり出しているストーリーの部分ではないからね」と。トリックのみで12時間ぐらい打ち合わせしているとのこと。ちなみに、最も多くトリックに使われていたのが「電話」!「ファックス」が全盛期の頃には、「ファックス」を使ったトリックで、今の最新刊では「スマホ」を使ったトリックなど、その時々の時代で色々変わってきている。

『金田一少年の事件簿』の魅力とは?

続いて、『金田一少年の事件簿』の魅力は、「動機が泣ける」!原作者、天樹征丸先生のインタビュー記事!「金田一シリーズで一番こだわってきたのは、動機の部分。まずは泣ける動機を考えようというのは、すごくこだわった。犯人が復讐したくなった気持ちに、感情移入できるくらいのものをね」と答えている。この動機の部分を人間ドラマとして丸々1話つかったりとかするので、読者は、ほんとはダメですけど、やはり犯人にすこし感情移入してしまう。そういうところが魅力。では具体的に、どのような動機が多いのか調べてみたところ、全59件の事件の統計を取った結果、実に60%が「故人の敵討ち」によるものだった!動機が、無差別とか自分勝手なサイコパス的な犯罪は、もう一切出てこない!すべてに理由があってドラマがあるというのが、金田一の事件の特徴。
芸能界一詳しい専門家が選ぶ、最も「動機が泣ける」作品が「獄門塾殺人事件」!これは、塾の「勉強合宿中」に起きた事件で、生徒6人が、次々と復讐によって殺されてしまう!復讐したのは、濱秋子。実は、この女子生徒は、殺された6人からイジメられ、自殺を考えていたが、藍野くんという男子生徒に救われ生きる気力を取り戻した!しかし、6人が次にイジメの標的にしたのはなんと、藍野くん!実は、今回の犯人は、6人に騙されて、藍野くんが死亡する直接の原因を彼女が作ってしまうことに。そして、藍野くんのお父さんと共犯して、6人を殺した!このように、金田一の場合は、犯人が悪いのではなく、逆に被害者が本当は悪い。自分が悪い事したら、それが自分に返ってくるという、子供たちへのメッセージもあるのではとのこと。
そして今回、『金田一少年の事件簿』原作者、天樹征丸先生にも「動機が最も番泣ける作品」を伺ったところ、「金田一少年の殺人」という主人公が犯人に仕立て上げられてしまうお話だった。その理由として、「それを仕組んだ犯人の動機とその事件の決着、そして後日談も泣けるものになったと思います」と回答をいただいた。これはあるパーティーで、人気作家が殺されてしまう所から始まる事件!犯人は、都築哲雄。彼が殺人を犯してしまった理由は、病気の娘の命を助けるために、手を染めた犯罪をバラされそうになり、殺人を犯してしまう。そして、天樹先生もアンケートで回答していた通り、最後、犯人だとバレた後に都築が起こす行動がまた、切ない!自ら命をたち、自分の体に残されたもう1つの腎臓を移植してもらうように頼む。そして彼から出たシリーズ屈指の名言が「不思議なもんだなあ、いつきくん、娘の体の一部になれると思うと、死ぬのも怖くない」。そして、無事、娘は父、都築の腎臓を移植し生き続ける事ができたというストーリー。

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