10月23日放送
“存在しない”人たち 無戸籍で生きるということ

貧困やDVなど親の事情で出生届けが出されずに「戸籍」がないまま育ち「無戸籍者」となった人は病気になっても病院に行けない、学齢期となっても学校に通えない、働こうとしても雇ってもらえない、結婚しようと思っても届けが役所に受理されない、それが日本という国の実情だ。

奈良市に住む市川真由美さんは、小さなイベント会社を経営する傍ら全国の無戸籍者支援にあたっている。多くの無戸籍者は役所の窓口担当者の無理解でたらい回しにされるなどの経験から、戸籍取得をあきらめ日本社会のセーフティネットの網からこぼれ落ちている。そこで市川さんは無戸籍者一人ひとりがこの世に生きてきた「人生の証拠」をかき集め、共に役所に出向き、最終的に「就籍」を目指す支援を手弁当で行っている。

最初は冷淡な対応を示す役所担当者も、めげずに市川さんに連れられた無戸籍者が何度も窓口に来ることで徐々に親身になる場合が多い。市川さんはこの7年間で6人もの戸籍をつくってきた。

戸籍が無いことで「この世に存在しない」ことになってしまう制度の不条理さと、伴走支援する一人の女性の奮闘を追いました。

製作:MBS 毎日放送
ディレクター:伊佐治 整