土曜の夜と、たけしと僕

第7回 2013年5月21日

「落差で笑う」

『こないだレストランで飯食ってたら
セルジオさんが挨拶をしたいそうです」って店の人に言われてよ
セルジオってセルジオ越後さんか? ほとんど面識ねーけどな・・・
なんて思ってたら向こうからなんだかしわくちゃなおっちゃんがグラスを持って歩いてくるんだよ。店の照明も暗くてよ「あれセルジオ越後さんか?なんだかずいぶん感じが変わったなー」なんて思いながらとりあえず乾杯して
挨拶したらよ、その人、セルジオ越後じゃなくてセルジオ・メンデスだったんだよ』たけし談

これ、殿が先週の当番組、たけしの三面記事の中で披露した
「ビートたけし・勘違い話」の一つです。

ちなみにセルジオ・メンデスとは、
1992年にグラミー賞にて、最優秀ワールド・ミュージックアルバム賞を
受賞されている、ブラジル出身の世界的なボサノバ&ジャズミュージシャンであります。
このセルジオ・メンデスさん、北野映画の大ファンであり、この時、日本に来日されていたそうです。

この日、三面記事のコーナーで話された殿の勘違い話は他に
世界的な映画スター「ジュウド・ロウ」が、やはり北野映画のファンであり、日本に来日した際、殿の楽屋に挨拶に来られたのですが
この時、「殿、ジュウド・ロウさんが挨拶に来られました』といった説明を、
殿は「柔道王が挨拶に来た」と聞き間違いし、楽屋に入ってきた
意外と小さかったジュウド・ロウを見ては「なんだ、どこかの国の軽量級の柔道王か?」と勘違いしたといった話。

さらに、
ベネチア映画祭に招待され、夜、パーティーに参加していると
殿、デニス・ホッパーさんと、ベルナルド・ベルドリッチ監督が
挨拶にきています」と紹介をうけ、やってきた二人を見て、
まずはイージーライダーでお馴染みのデニス・ホッパーに殿
「イージーライダー見てました。わたしもあなたのファンです」と
景気よく挨拶すると、通訳の方に
「たけしさん、そちらはベルドリッチさんです」と、つっこまれたという、
デニス・ホッパーとベルドリッチを間違えてしまった話などなど・・・。

ちなみに、ベルナルド・ベルドリッチ監督は、映画「ラストエンペラー」にてアカデミー賞を8部門獲得したイタリアの映画監督であります。

この三つの殿の勘違い話を聞いて、誰しも思ったはずです。
「出てくる名前がワールドワイドすぎ!」と。

なかなか自身の勘違いや、聞き間違いといったなんてことのない
ちょっとしたおっちょこちょい話の中に、
セルジオ・メンデス、デニス・ホッパー、さらにはジュウド・ロウといった
名前が登場することなどまずないと思われ、
くどいようですが、「セルジオ・メンデスがオチになる話って!」
と、僕などは思ってしまうのです。

これらの話は、裏を返せばいかに
ビートたけしが「世界の北野」であるかといった証明であり、
さらに、映画監督北野武は、そういった‘ステージ‘に
もう何年も前からしっかりと腰をおろしているわけであると。


殿が以前、酒席にて話していた‘偉くなるとお笑いには都合がいい‘
いった持論を強く思い出すのです。

「あれだよ、お笑いなんてのは落差であって、誰が何をやるかなんだよ。一番いいギャクは国の大統領なんかがスピーチなんかするときに、沢山の
報道陣の前で派手にこけるのが一番いいギャクなんだよ。
あんまり好きな言葉じゃないけどよ、地位や名誉はあったほうが、実はお笑いはやりやすくなるんだよ。だからベネチアで賞を貰った時は、日本に帰ったら前よりさらにお笑いがやりやすくなるなって思ったもんな・・・。」たけし談

なるほど・・。
しかしながら、
偉くなる。地位や名誉を持つ。

なかなかできないことです。

それと、あくまで世間的な尺度での
‘偉い人‘や‘地位や名誉‘を持ち合わせている方々が
殿のように、お笑い的な脳を同時に持ち合わせ
「ここでコケたらうけるぞ。よし、いっちょやってみるか!」とは
まずなりえない訳です。

お前はなにが言いたいのだ

はい。ですからこの、殿の言われる‘偉くなるもいつだってコケてうける用意がある男‘といったジャンルは、今もこの先も、もう完全にビートたけし&北野武の独壇場であり、
ならば殿はこのショービジネスにおいて、未来永劫仕事の発注が絶えることがないと、改めて一人勝手に感じいってしまう僕なのです。

写真

写真は、
ヨーロッパの三大映画際にて、作品賞と監督賞を受賞され、
さらに、フランスから文化勲章を受章されるも
本人のたっての希望により、こちらのニュース番組にて、
‘ゆうこりん‘こと、小倉優子さんがかつてかかげていた、宇宙のどこかに
きっとある‘こりん星‘からやってきた‘こりん星人‘を、ことあるごとに
やりたがる、今年、66歳になられた北野武さんです。

2013.5.21   アル北郷

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〆さばアタル・プロフィール

生年月日:1968年11月4日
出身地:香川県
1989年にビートたけしに弟子入り漫才師として「ダウソタウソ」「ウッチャソナソチャソ」「ダッチョ倶楽部」など師匠につけられたパチモノのコンビ名で活動。現在は「情報7daysニュースキャスター」などで自称ブレーンを務める。

アル北郷・プロフィール

生年月日:1971年8月26日
出身地:東京都
96年、ビートたけしに弟子入り。
08年、映画「アキレスと亀」にて東京スポーツ映画大賞新人賞受賞。
現在TBS系「情報7daysニュースキャスター」ブレーン。「週刊アサヒ芸能」にて「決して、声に出して読めない たけし 金言集」好評連鎖中

 

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