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過去の放送 出演者 時事放談「サロン」 テレビプロデューサーの日々
 
 

鴨下一郎氏「Dr.鴨下3つの処方箋」(2017年7月30日放送)

鴨下:「まずひとつ目はですね、『原因究明』。安倍さんの答弁の仕方が高圧的だったのか、様々な大臣の言動が問題だったのか、一番支持率が下がった原因は一体なんだったのかということをですね、きちんと究明するという、これが対策の始まりだと思います。2つ目はですね、『納得のいく説明』。そういうことを知った上で、国民の皆様方に納得のいく説明をしなきゃならない。先の国会の中で山本幸三地方創生大臣がですね、「加計問題」で答弁書を5分間読まれましたけれども、国民の皆さんの心には落ちないわけですから。そして、最後はそういうことを分かった上で、『適切な治療』。医学で言えばですね、症状が出たから対処療法として熱を冷ますとか痛みを取るとかありますけども、もっと根本的な病根を取るために外科手術をしたり、それから体質改善をしたりと。今回の内閣改造でどこまでそういう適切な治療が出来るかです」

そして、昼からは組閣だ。官邸に行くとエントランスは記者とカメラマンとで100人ほどがひしめく騒ぎだった。天井まであるガラスからは夏の日差しが燦々と降り注ぎ、汗が噴き出た。その前を、午後1時に二階幹事長ら党3役らが現れ、いよいよ組閣が始まる。緊張の表情の江崎鐵磨新沖縄・北方対策担当大臣が一番乗りで現れ、盛んにフラッシュを浴びた。その後しばらくあって、1時半、高そうなグレーのスーツの麻生太郎財務大臣、紺のブレザーに白いパンツの河野太郎新外務大臣、紺のスーツに黒のインナー黒い靴の野田聖子新総務大臣と続き、フラッシュの音が止むことなくエントランスに響いた。

そこへ、安倍総理から任命を受けた林芳正新文部科学大臣がエントランスに戻り、混乱はピークとなる。ぶら下がりの周りに記者が集まるもんだから、入ってくる新大臣を撮ろうとする正面のカメラマンから「もっと端に寄れー」などと罵声が飛ぶのだ。林大臣は「加計学園問題」を踏まえて、「いろんなことがあって、信頼が少し落ちてますので、渾身で回復できるように、一つ一つ丁寧にやっていければと思います」と厳しい表情を見せた。次に現れたのは「南スーダンPKO日報問題」を抱える小野寺五典防衛大臣で、こちらも眉間にしわを寄せ「防衛省、自衛隊一丸となってこの国を守って欲しい、そのような強いご指示を総理から頂きました。全身全霊で努力していきたい」と力をこめた。そして、野田大臣が現れたのだが、目玉大臣なだけに押しくらまんじゅう状態となり、その中、一昨年の総裁選で安倍総理に対抗して出馬しようとしたことを聞かれて「総理と私の間で確執が生まれたわけでもなく、それぞれがどういう政治をすれば一人でも多くの人を幸せにしていけるかのスタンスの違いだと思います」と答えた。そして、2時40分にもなって現れたのがなぜか最初に入って行った江崎大臣で、記者から尋ねられ「あれ、ちょっと時間間違えてたみたい」と、呼び込み前にやって来てしまったと心許ない様子を見せた。

ここにきて「反安倍総理」鮮明にした、石破茂元地方創生大臣がスタジオで示したのは、加計学園選定が公正なものだったかの基準となっている、大臣時代の「石破4条件」にちなむ、安倍総理への「“新”石破4条件」だった。


石破茂氏「“新”石破4条件」(2017年7月16日放送)

石破:「1は『勇気をもって』。そして、2は『真心をもって』ですね。3は『真実を語り』。4は『それを実現する』。真実ってすごく見つけるのが難しいこと、あるいは言いたくないことなのかもしれない。でも、真実を自分で見つけろと。それが都合が悪いことであっても、世の中に受けなくても、それを語る勇気を持てということですね。そして、真実を勇気を持って語るだけだったら、学者でもいっぱいいます。でも、政治家なんだから実現しなきゃ意味ないじゃないですか。自分はまだまだ駄目だなって思いますですよ。それを4条件というかな、それとして常に常に自分に問いかけるっていうことは、失いたくないですね」

そして、夕方6時からは皇居での認証式を終えた安倍総理の記者会見が始まった。110ほどの記者席は満席で、そこへSPの先導で大勢の秘書官を引き連れ安倍総理が入ってきた。さすがに少し疲れた表情だったが、脇に集まるカメラマンの撮影に応じた後、正面を向き直し、「先の国会では森友学園の国有地売却の件、加計学園による獣医学部の新設、防衛省の日報問題など様々な問題が指摘され、国民の皆様から大きな不信を招く結果となりました。そのことについて冒頭まず、改めて深く反省し国民の皆様にお詫び申し上げたいと思います」と言うと、目を閉じ10秒ほど深く頭を下げ続けた。これまでの身振り手振りの会見とは変わり、神妙な顔つきで組閣の狙いを語り、「この内閣は、いわば結果本位の『仕事人内閣』であります」とした。

そんな「低姿勢」で危機を乗り切ろうとする姿を見ながら、今回の改造で閣外に出て党三役に転じた岸田政調会長、次の総裁選にも出馬するという野田大臣の今日の姿、そして、スタジオで力を込めた石破元大臣の姿が頭に浮かんできた。さらに、大臣になれなかった人、大臣を辞めた人…。長い間、番組で世話になった後藤田正晴元副総理が昔、「辞める大臣、なりたいのになれなかった議員。それが動き出す。改造は難しいんだ」と言っていたのをなつかしく思い出したりした。満席の記者のパソコンがぱちぱち鳴り響く会見場の端で、「きょうから始まったんだな」と思った。


※本原稿は調査情報9〜10月号に掲載されています。

石塚 博久 (いしづか ひろひさ)
'62 東京都足立区生まれ。早稲田大学卒業後、'86日本経済新聞社に入社。大阪、名古屋、仙台支局(このとき、「みちのく温泉なんとか殺人事件」に出るような温泉はほとんど行った“温泉研究家”でもある)に。
東京本社政治部で政治取材の厳しい(「虎の穴」のような)指導を受け、新聞協会賞(「閣僚企画」共著)も。
'96TBS入社後は、報道局政治部記者、「NEWS23」のディレクターを経て、「時事放談」制作プロデューサー。

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