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過去の放送 出演者 時事放談「サロン」 テレビプロデューサーの日々
 
 

二階俊博氏「自民党は自民党らしく」(2017年6月4日放送)

二階:「国政選挙も十分戦えますよ。迎え撃つとか、そんな騒動にしなくても、あんた。普通に戦えばいいんですよ。自民党は自民党らしくやりますから」

小池氏が言う「オッサン政治」が、国政ではどうなっているのか。翌日、「加計学園」問題の文書が発覚してからの初めての安倍晋三総理出席の国会審議が衆議院決算行政監視委員会で行われるので、朝から最前席に陣取った。

民進党の今井雅人議員は、「この問題は、選定にあたって安倍総理の30年来の親友が運営する加計学園ありきで、この話が進んでいたのではないだろうかという疑念ですっ」と声を張り上げると、傍聴議員や野党席から「そうだっ」と大声が上がり、冒頭から緊迫状態だった。そもそも、獣医学部新設をめぐる内閣府と文部科学省との交渉で、内閣府が「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っている」などと迫ったとする記録文書が文科省にあったと、朝日新聞が5月17日に報道したのが始まりだった。文科省は、すぐさま内部調査で「確認できなかった」とし、菅義偉官房長官も怪文書みたいな文書などとした。だが、なんと前川喜平前文部科学事務次官が会見し「見たことがある」と明言したことで激しい対立となった。質問で今井議員はメールで文書を共有していたという10人の名前を読み上げ、「文科省さんにいらっしゃいますか」と質した。これに対し、文科省の高等教育局長は「今、名前を挙げていただいた人と同姓同名の職員はは実際におります」と答え、閣僚席で聞いていた安倍総理は「ニヤリ」。委員室には「ひどい答弁っ」「舐めてるよー」などとの声が上がった。


片山善博氏「ちょっと許せない」(2017年6月11日放送)

片山:「お役人が、『省内には同姓同名の職員がいます』って、あれを聞いてね、本当に私ね、情けなく思いましたよ。私も国会答弁したこともあります、役人の時代に。国民に答えるわけですから、誠実にやってきたつもりですけどね。あんな人を舐めたようなね、国会の場で役人があんなこと言うっていうのは、役人のOBとしてですね、ちょっと許せないですね」

今井議員は「再調査」を求めたが、これに松野博一文部科学大臣は「その出所や入手経路が明らかにされていない場合において確認の調査を行わない事は従来から…」(その後、再調査に追い込まれたのだが)と答えるものだから、野党席からの「調べればいいんだっ」などのヤジで騒然となった。そんな中、答弁に立った安倍総理は「まず、前提が間違っているんですよ。この問題の本質はですね、岩盤規制をどのようにですね、穴をあけていくといくかというのが…」と話だし、野党席からは「アー?」などヤジが激しく飛んだ。安倍総理は「皆さん、ちょっとヤジはですね、私は誠意を持って…宮崎(岳志)さんもヤジはやめてくださいよ。西村(智奈美)さんもヤジはやめていただけますか?」とうんざりした表情をし、騒然とする中でNHKのカメラに向かって「国民の皆さん、こうやってね、私が答弁をしようとすると、ヤジでですね、妨害をするんですよ」と語りかけた。

その後、今井議員は、官邸と対立する前川前事務次官について、5月22日の読売新聞で報じられた「出会い系バー」に出入りしている旨の記事に、すぐさま記者会見で菅官房長官が「強い違和感を覚えた」などと批判したことを質した。菅官房長官は「私は事実に基づいて発言しているだけであります。援助交際の温床となりかねないとされる店に頻繁に通ってですよ、そして女性を外に引き出して…」と眉間に皺を寄せ経緯を強い調子で語り出した。加えて、時折声を震わせ「文部科学省において天下り問題が発生して、そして、再就職監視委員会の調査に対して問題を隠ぺいした責任者が前川さんだったんですよっ」と人差し指を何回も上下に振り、それがマイクにあたったりした。普段、冷静な菅官房長官のその姿に委員室は静まり返った。


村上誠一郎氏「与党だから言いづらいけど」(2017年6月11日放送)

村上:「私は与党だから言いづらいんですけど。前川さんの人格を貶めるようなことをですね、やっぱり時のですね、為政者がですね、やるというのは非常にまずいなと。それでですね、打ち消そうとするならば、国民の皆さん方のですね、逆に信頼を失うんではないかと。そして、三大紙の方がですね、このような記事をですね、その書くということ自体ですね、私も31年間国会議員やらしてもらってますけど、見たことも聞いたこともないんで。正直言って?然としましたですよね。つまり社会の木鐸がこの問題点を逸らすというか…」

この後、民進党の宮崎議員が、加計学園系の小学校が姉妹校提携しているアメリカの小学校を明恵夫人がオバマ前大統領夫人と訪問したことなどと話し続けると、安倍総理は席から、「いいかげんなことばっかし言うんじゃないよっ」と大声を上げた。これには玄葉光一郎委員長も憤然とした表情で「閣僚席から不規則発言はやめてください」とたしなめると、安倍総理は「じゃ、答弁させて下さいよ」と言い返した。さらに玄葉委員長の「いやいや、委員長の指示に従って。あとでまた」との声に、安倍総理は「それはおかしいんじゃないかっ」と、顔を紅潮させ言い返す始末だった。

混乱する審議を前に、前夜の街頭演説の盛況ぶりが重い浮かんだ。街宣車の上の小池氏は「変えましょうよ、古い議会を。変えましょうよ、もっと新しい東京に」と声を張り上げた。その後、街宣車の周りの人たちに「ありがとうございます」「ありがとうございます」と言いながらハイタッチを始めた。辺りでは若い女の子たちが盛んにスマホで動画を撮り出し、さらに「頑張れー」「頑張れー」の声援も上がり、もみくちゃになっていた。そして、大きな白いバンに手を振りながら乗り込み、暗闇に赤いテールランプを残し、走り去っていったっけ。

眼前では、まだ安倍総理の答弁に野党席から激しいヤジが飛び騒然となっている。「森友学園の後に加計学園。都知事選挙の後に『緊張の夏』が来るってか」とつぶやいてみた。


※本原稿は調査情報7~8月号に掲載されています。

石塚 博久 (いしづか ひろひさ)
'62 東京都足立区生まれ。早稲田大学卒業後、'86日本経済新聞社に入社。大阪、名古屋、仙台支局(このとき、「みちのく温泉なんとか殺人事件」に出るような温泉はほとんど行った“温泉研究家”でもある)に。
東京本社政治部で政治取材の厳しい(「虎の穴」のような)指導を受け、新聞協会賞(「閣僚企画」共著)も。
'96TBS入社後は、報道局政治部記者、「NEWS23」のディレクターを経て、「時事放談」制作プロデューサー。

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