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「2017 緊張の夏」 【2017年7〜8月号】
ちょうど昼、JR三鷹駅の北口ロータリーに、大きな小池百合子都知事の写真と「私たちが、東京大改革を進めていく。」との文字をあしらった「都民ファーストの会」の街宣車が到着したところだった。つき刺すような日差しの下、緑のポロシャツを着た20代のスタッフがあちらこちらに緑色ののぼりを立てはじめ、「本人」と書いた緑のタスキをかけた東京都議会議員選挙の地元候補者が街宣車の上に現れた。脇で武蔵野市議会の女性議員が「28歳の青年です。まだまだ若輩者ですが28歳の顔と名前を憶えてくださいっ」などと声を張り上げ、候補者が頭上で大きく手を振り上げたりした。その間、観衆はどんどん増え続け、中には「MAKE TOKYO GREAT AGAIN」との緑の帽子をかぶったトランプ大統領の支持者ばりのおじさんも現れた。選挙1か月を前に、小池氏が突然自民党に「離党届」を出し、いわゆる「小池新党」である「都民ファーストの会」の代表に就任して初めての日曜日(6月4日)だった。満を持した街頭演説は、朝から夜まで多摩地区12か所の「爆弾ツアー」で、自民党の二階俊博幹事長がスタジオで警戒感をむき出しにしていたことを思い出したりした。
● 二階俊博氏「目立つことはなんでもやるでしょ」(2017年6月4日放送)
白い大きなバンから、ベージュのパンツに明るい緑のジャケット姿の小池氏が登場し、ロータリーからあふれるほどの観衆に向け、街宣車の上で両手を振り上げると拍手と歓声が沸き立った。マイクを受け「小池百合子です」と声を張り上げると、突然、脇のベンツから都知事選挙に出馬したこともあるマック赤坂氏が身を乗り出し「小池―」とがなり、両手で緑のペンライトを振り出した。小池氏は動じる様子もなく「頑張ってくださいね。この選挙区ではないですよね」などと諭すと、赤坂氏も納得したのか車内に戻り、どこへやら走り去っていった。そんな喧噪の中、小池氏は「都民ファーストの会は公認候補に48名立てております。AKB48ならぬTMN48、ト・ミ・ン48ですっ」などと声を張り上げ、さらに拍手を受けた。そして、「今、永田町と霞が関でバトルやってますよね。永田町と言うよりは官邸対霞が関ということでしょうかあ」と、「加計学園」問題に触れた。「私はね、東京、これをこれまでの忖度の政治そのものであった、そういう議会から変えたいと思っているのです」などと15分ほど話すと、街宣車から降りて観衆の中に入り、もみくちゃになって握手をし始めたと思ったら、今度はこっちに向かってくるではないか。何かと思ったら、脇を通り過ぎていきなり南口への階段を駆け上がりだした。新聞社のカメラマンらも一緒に走ると、駅に来ていた買い物客らは「本人だ―」「小池さんだあ」と大騒ぎ。小池氏は手櫛で髪をかき上げながら、時折、握手をして走り抜けた。南口ロータリーに着くと、そこにはすでに幅200メートルほどの敷地いっぱいに観衆が待っている始末だった。この人気に、自民党と連立する公明党も、首都決戦では「小池支持」を余儀なくされたというわけだ。
● 漆原良夫氏「東京都は国とは違った問題点」(2017年6月4日放送)
この日、最後の会場となった京王多摩センター駅前は、両脇に商業ビルやホテルが立ち並ぶ幅50メートルはあろうかとの巨大な陸橋が南へ続いてた。夜7時過ぎ、その階下のロータリーに街宣車が登場し、大音量で「こちらは都民ファーストの会でありますっ。7時10分から小池都知事が政策を訴えさせていただこうと思います」とアナウンスすると、あれよあれよという間に街宣車の周りや陸橋は人が鈴なりになり、ロータリーは「中にいるのか」「何時からだってえ」と口にする観衆で一杯となった。そこに、別会場から来た女性候補が疲れた表情で到着し、追うように小池氏も大きな白いバンで現れた。どこからかテレビのレポーターも登場し、ライトに照らされて「小池都知事が到着しました。疲れも見せずに街宣車に上って行きましたっ。すごい人が集まっています」と脇でレポートしだした。
街宣車の上の小池氏が「皆さん、こんばんわー。お食事の時間ですが、あちこちから手を振っていただいております。あそこでお食事中の方からも手を振っていただいております。ありがとうございまーす」と声を張り上げるので、何かと思って見上げてみるとホテルの展望レストランから若奥さんたちが鈴なりで手を振ったりしていた。気をよくした小池氏は「これからは、これまでの『オッサン政治』じゃもう駄目なんですよ、皆さん」と声を張り上げると、大きな拍手が沸き起こった。目の前の緑のベストのスタッフも興奮して、近くにいた女の子に交通整理の棒ライトを渡したりするものだから、はしゃいでその赤いライトを振ったりして、お祭り騒ぎとなってきた。「私、その大風呂敷を広げてこられたオッサンたちの後始末、一生懸命やってますよ」「しっかりと改革の方向にスピード感を持って臨んでいきたい」「私、小池百合子でございます。みなさんいかがでしょうか」と、立て続けに声を張り上げると、さらに拍手が沸き起こった。「大変な人気だな」と感じ入り、「都議選の後」を思った。