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過去の放送 出演者 時事放談「サロン」 テレビプロデューサーの日々
 
 

古賀誠氏「ゴルフはいかがなものかと」(2017年2月5日放送)

古賀:「まあ、ゴルフというのはいかがなものかなという率直な感じは持ちます。トランプさんみたいなですね、直情型というんでしょうか、単純型というんでしょうか。あんまり近づいて仲良くなりゃあ良いってものだけではないんじゃないかなと思いますね。少し冷静なですね、間も交渉には必要なんじゃないかなと。あんまり近づいたらね、それが信頼関係として良い方向に向っていくんだという方とはちょっと違うんじゃないかなと。やっぱり近づき方にも少し冷静沈着なですね、間というものをいつも持てると。こういう関係のほうがですね、私は交渉としては良いのではないかなと」

首脳会談は日本時間で土曜の未明に、深夜テレビ画面をにらみ続けることになった。ホワイトハウスに到着した安倍総理をトランプ大統領はいきなりハグして出迎えた。会談の頭撮りでは、並んで座り、トランプ大統領は20秒間手を握り安倍総理を見つめ続け、握った安倍総理の手を左手でさすってみせたりもする様子にびっくりした。会談後の記者会見で並んだ姿は、赤いネクタイのトランプ大統領に対し、安倍総理のネクタイがトランプ大統領お気に入りの色だとされる金色だったトランプ氏は日米同盟の重要性などを記したメモを読み続けた後、「我々は間もなく素晴らしいフロリダ州に向かい、そこでじっくり時間をかけて実りある話し合いと交渉を進め非常に有意義な週末を過ごすことになるだろう」と語った。安倍総理は「大統領は素晴らしいビジネスマンではあるが、議員や知事など公職の経験はなかった。それでも1年以上にわたる厳しい選挙戦を勝ち抜き、新しい大統領に選出された。これこそまさに民主主義のダイナミズムだ」と持ち上げて見せた。そして、選挙中の過激発言で懸念されていた貿易赤字など経済問題について、麻生太郎副総理とマイク・ペンス副大統領との間で話し合っていくことで合意したと語った後で、ゴルフに触れ「私の腕前は大統領にかなわないと思うが、私のポリシーは『Never up、Never in』。常に狙っていく。『刻む』という言葉は私の辞書にはない」とおどけた。

これに対して、現地記者からの質問は、いきなり、イスラム圏7か国からの「入国制限」問題と容赦なく、トランプ氏は「さらに法廷での手続きも進める。最終的には疑いなく我々が勝つだろう」とにらみ返した。そして、水を向けられた安倍総理は「それぞれの国々が行っている入国管理、難民政策、移民政策については、その国の内政問題なので、コメントは差し控えたい」とかわした。そんな姿に、与野党の論客の2人は、スタジオで懸念を示した。


石破茂氏「安保条約、今度は日本が問われる」(2017年2月12日放送)

石破:「お互いの念頭にあったのは間違いなく中国ですよと。今回、初めて共同声明という文章の形で尖閣諸島は日米安全保障の5条の対象であると。さあ、日米安全保障条約の5条はいかなる時に適用されるのかということは、今度は日本が問われる」

前原誠司氏「ここから気合を入れていかないと」(2017年2月12日放送)

前原:「ポイントは貿易、為替。ペンス副大統領と麻生副総理で、ということだが、ここからがスタートだし、過去のTPPや日米貿易摩擦を間近に見ていても業界団体がバックにいるわけで、相当ねじ巻き、ロビー活動が展開される。ここから気合入れてやらないと相当厳しく突っ込まれる」

日曜日、朝の放送の後も安倍総理とトランプ大統領の蜜月ぶりは次々とニュースになった。大統領専用機「エアフォースワン」でゴルフ場のあるフロリダへ向かう様子、大統領別荘中庭でテーブルを囲んで夕食に臨む様子、ゴルフ場でなにやらハイタッチして喜ぶ2人…。ニュースを見つめながら「抱きつくしかないじゃん」という、あの友人の言葉がエソプレッソの香りとともによみがえった。そして、うんざりした。そんなテレビでは、あわただしく北朝鮮が日本海に弾道弾ミサイルを発射したニュースが始まった。アメリカでは、ゴルフと夕食の間だったとかで、緊急記者会見に臨んだ安倍総理が憤然とした様子で「トランプ大統領は先の首脳会談で米国は常に100%日本とともにあるということを明言されました。そしてその意思を示すために、今、私の隣にたっておられます」と語った。トランプ大統領は「我々米国は100%同盟国である日本とともにある」と力を込めていた。「トランプ時代が始まった」と思った。


※本原稿は調査情報3〜4月号に掲載されています。

石塚 博久 (いしづか ひろひさ)
'62 東京都足立区生まれ。早稲田大学卒業後、'86日本経済新聞社に入社。大阪、名古屋、仙台支局(このとき、「みちのく温泉なんとか殺人事件」に出るような温泉はほとんど行った“温泉研究家”でもある)に。
東京本社政治部で政治取材の厳しい(「虎の穴」のような)指導を受け、新聞協会賞(「閣僚企画」共著)も。
'96TBS入社後は、報道局政治部記者、「NEWS23」のディレクターを経て、「時事放談」制作プロデューサー。

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