2019年4月スタート

用語解説

第2話

【 ハートランドウイルス 】

2009年にアメリカ・ミズーリ州で発見された新型のウイルス。HRTVと表記する。ブニヤウイルス科フレボウイルス属に分類され、中国や日本で流行している重症熱性血小板減少症候群ウイルス(SFTSV)に近縁。マダニによって媒介され、ヒトに対して発熱、倦怠感、下痢症状し、血小板減少、白血球減少等の重篤な疾患を引き起こす。ドラマ内では、致死性の強いウイルスに変異した設定になっている。

【 マダニ 】

動物の血液を唯一の栄養源とする、吸血性の大型のダニ。大きさは吸血前で約3~10mmと様々で、吸血すると数倍の大きさに膨れ上がる。また、吸血の際に、原虫やウイルス、細菌などさまざまな病原体の媒介をすることがある。動物の発する二酸化炭素や体温を感知して刺咬すると、唾液腺からセメント様物質を分泌することで皮膚へ強固に固着し、1週間ほどかけてゆっくりと吸血する。野生動物が生息するような森林や草地等の野外であれば、気候や環境を問わず広く生息している。日本でも全土に分布。

【 シカダニ 】

マダニの一種で、学名はIxodes scapularis。クロアシマダニとも呼ばれる。ハートランドウイルスを媒介すると考えられているマダニ種のひとつで、日本には生息していない。

【 チフスのメアリー 】

メアリー・マローン(1869年〜1938年)。アイルランドからニューヨークに移住し、住み込み料理人として働いていた女性。腸チフスに感染していたが、一切症状が出ないという健康保菌者(無症候性キャリア)と呼ばれる特異体質であった。そのため、本人も無自覚なままに大勢の人に腸チフスを感染させ、その結果死者も出た。

【 スーパー・スプレッダー 】

感染症の感染源となり、多くの人への感染拡大となった特定の感染者のことを指す。8-10人以上への感染拡大の感染源となった患者がスーパー・スプレッダーと定義されている。これまでに、2003年のSARSアウトブレイクや、2014年の西アフリカエボラ出血熱流行などにおいて、スーパー・スプレッダーの存在が推定されている。

【 CDC 】

アメリカ疫病予防管理センター。Centers for Disease Control and Preventionの略。ジョージア州アトランタに本部を置く。 国内外の人々の健康と安全のために設立された米国連邦機関であり、癌、エイズ、感染症、環境リスク等の他にも、疫学や免疫学など、多岐にわたる分野の調査と研究を行なっている。

【 カプノサイトファーガ・カニモルサス 】

イヌやネコの口腔内に常在している細菌。学名はCapnocytophaga canimorsus。犬や猫に咬まれたり、引掻かれたりすることで人間の体の中に入り込み、発熱、倦怠感、腹痛、吐き気、頭痛などを引き起こす。これはカプノサイトファーガ感染症と呼ばれる。重症化した場合は、敗血症や髄膜炎を起こし、播種性血管内凝固症候群(DIC)や敗血性ショック、多臓器不全に進行して、最悪の場合死に至ることもある。

※ カユミトール

ドラマの中の架空のかゆみ止め薬で、実在しない。
紐倉がアフリカでフィールドワークの最中に、猿が背中をこすりつけている木を見つけ、成分を調べた後、製薬会社に持ち込み商品化したら大ヒットした。紐倉はこれのおかげで大金持ちになった。

監修

嘉糠 洋陸(Hirotaka Kanuka)

東京慈恵会医科大学教授。1997年東京大学農学部獣医学科卒業、2001年大阪大学大学院医学系研究科修了、2011年から現職。専門は寄生虫学、衛生動物学。

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