特集

白い岸壁に映える美しい石造りの橋

ゼメリング鉄道
冬はスキーが楽しめるゼメリングのゲレンデですが、
シーズンオフはマウンテンバイクによるフリーライドが楽しめます。小澤隊長も挑戦しました!

─トンネルや橋が多いですが、当時の技術では大変な苦労があったのではないですか?

小澤:自然や景観を守るという観点からも、できるだけトンネルや橋は造らずに済むように設計されましたが、それでも高架橋が16本、トンネルが15本あります。特にトンネルの工事は苦労が多かったようです。

─トンネルの工事では、どのような苦労があったのでしょうか?

小澤:まだダイナマイトが発明されていない時代だったので、手作業で掘り進める必要がありました。また、アルプスはわき水でも有名な場所です。ゼメリング周辺も例に漏れず、雨が多く、わき水が豊富なのです。そのため山間部は岩盤が緩みやすく、掘削すると落石事故が相次ぎ、工事は困難を極めました。犠牲者も多数出たそうです。

─現在も鉄道として利用されているということですが、どういった用途で使われているのですか?

ゼメリング鉄道

ゼメリング鉄道を走った蒸気機関車には、小回りの利く仕掛けなど、アルプスを越えるための工夫が凝らしてありました。

ゼメリング鉄道

カルテリンネ橋は二段構造の石造りの高架橋。ゼメリング鉄道のハイライトのひとつです。

小澤:現在は、内陸部で組み上げた自動車の運搬などにも利用されています。また、多くの観光客も利用しています。ゼメリング鉄道の誕生は、副産物としてここを観光地として発展させました。「鉄道に乗って避暑地に出かけて景色を楽しむ」という新たな観光スタイルが生まれたのも、この鉄道の誕生がきっかけでした。現在も、優雅な列車の旅を楽しむ人々が訪れます。今回は夏の取材ですが、冬にはスキーも楽しめます。