特集

カムチャツカ火山群I, II

火山が育む命のサイクルTHE世界遺産ディレクター取材記

―今回の世界遺産は「カムチャッカ火山群」ということですが……。

小澤ディレクター(以下:小澤):実は「カムチャッカ」という言い方は間違いです。日本ではそう呼ぶ人が多いですが、正しくは「カムチャ“ツ”カ」と言います。「カムチャツカ」はロシアにある半島なのですが、ロシア語でも「ツ」はきちんと発音していました。

―そうだったのですか。日本に近いので「カムチャツカ半島」という名前は耳にしても、実際に訪れたという人はあまり聞いたことがありません。どんな世界遺産なのでしょうか?

火山が育む命のサイクルTHE世界遺産ディレクター取材記

小澤:カムチャツカ半島は太平洋プレートが北米プレートに潜り込む位置にあり、200以上もの火山が存在します。そのうち29座が活発に活動していることから「火山の博物館」と呼ばれる、世界有数の火山地帯です。そのなかで、火山を抱える6つの自然保護区が「カムチャツカ火山群」として世界遺産に登録されています。「火山群」の名のとおり、2つの火山が並んでいるなど、火山が密集していることが特徴です。番組では2週に渡ってこの世界遺産を紹介するのですが、1週目は「火山」、2週目は自然保護区に住む「動物たち」の映像をお届けします。

―日本にも富士山や阿蘇山などの火山はありますが、それぞれは離れています。火山同士が近くにあるというのは想像できませんね。どんな光景でしたか?

小澤:多くが噴火によって火山灰などが降り積もってできた山で、富士山のようにきれいな円錐形になっています。高さは2000〜4000m級です。富士山がいくつもあるような感じですね。どの山もきれいな景色を見せてくれました。