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2010年10月3日放送
明・清朝の皇帝陵墓群

世界遺産は、北京近郊の「明十三陵」「清東陵」「清西陵」だけではありません。
明の初代皇帝・朱元璋(洪武帝)は、南京に都を置き、明孝陵を築きます。
巨大陵墓の建設に使われたレンガは3億個あまり、各地から献上されました。
この巨大な陵墓も世界遺産です。

「清東陵」には皇帝だけでなく皇后の墓もあります。定東陵は、清の末期にその実権を振るった西太后の墓です。その地下宮殿に置かれた棺には、今も西太后が眠っています。世界遺産の歩き方コーナーで紹介する、豪華庭園「頤和園」(いわえん)は、西太后が晩年をすごした場所。
人工的につくった湖と山は、まるで山水画の世界です。

14世紀、モンゴル民族の王朝「元」を「明」が打ち破ります。以来、「明」から「清」にかけて550年続いた王朝の歴史。その永きにわたり、皇帝たちは国費をかけ、巨大な墓を造り続けました。中でも皇帝の棺を安置するための地下宮殿建設には、莫大な金額と時間を費やしたのです。それは中国の皇帝たちが、死後も現世と同じ生活をするため、富と権力すべてをあの世に持ち込もうとしたからです。今回は北京郊外「明の十三陵」にある定陵(万暦帝の墓)の発掘秘話を紹介します。地下宮殿からは、黄金の龍で飾られた皇帝の冠や金貨など貴重な品々が発掘されました。さらに「清東陵」の裕陵(乾隆帝の墓)、「清西陵」の祟陵(光緒帝の墓)の地下宮殿内部を取材。壁を飾る四天王や八大菩薩の浮き彫りは見事な芸術品です。しかし、このふたつの陵墓は盗掘にあい財宝は失われていました。20世紀初頭、中国最後の王朝・清は滅亡し、地下宮殿の建設は終わりました。

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