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2010年5月9日放送
ヒエラポリスとパムッカレ

美しい石灰棚を生み出したこの地方は、石灰岩大地の上にあります。
石灰岩はサンゴなどが堆積して出来たもの。
採石場を訪れると、サンゴの形を留めた石灰岩。
貴重なカニの化石も発見されていました。

何度も大地震により破壊されたヒエラポリス。
その復興には、知られざる古代ローマ人の技術がありました。
ネクロポリス(墓地遺跡)で発見された、石棺の図。
それは、水の力で水車を回わし、石を切る機械でした。
それを再現した石材工場の社長のもとを訪れます。
2〜3世紀に考案された画期的なものです。

ヒエラポリスの時代から続くという「ラクダの戦い祭り」。
パムッカレの近くの町で17年ぶりに開催されました。
各地から集まったラクダは、およそ80頭。1対1の戦いです。
日本風に言えば「ラクダ相撲」。観衆は熱戦に拍手を送ります。

その会場で見つけた「ラクダソーセージ」は、香辛料のきいたサラミ風の味。
野菜とはさんだサンドイッチは、日本円で約300円。

石灰棚には、裸足になれば入ることも出来ます。

「ヒエラポリスとパムッカレ」は、自然と文化の融合した複合遺産。
石灰岩大地から湧き上がる温泉水は、美しい石灰棚の丘を誕生させました。
「パムッカレ」はトルコ語で「綿の城」。
純白の石灰棚は、朝には、綿雲のような湯気を上げ、昼には、青く輝き、夕焼けに染まります。その絶景に魅了された古代ローマ人は、温泉の湧く石灰棚の丘に古代都市を築きました。その名は「ヒエラポリス」。
サウナ付きの大浴場や劇場、上下水道も整備された、まさに「美と健康の都」でした。歴代のローマ皇帝も好んで、この温泉郷に足を運んだといいます。
しかし古代都市は何度も大地震に襲われます。破壊された神殿は、温泉に沈みます。そのローマ遺跡が沈んだ温泉は、現在、観光名所になっています。

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