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2009年3月8日放送
福建の土楼

17世紀建造のもっとも有名な「承啓楼」

直径約73m。内部に平屋の円楼が二重に建てられ中心に円形の先祖を祀る祖堂がある。外円部には計256室(64室×4階)あり、最盛期には600人以上が暮らしたこともあり、住民同士が同じ土楼に住んでいると知らず、自分の土楼が大きいのを自慢したというエピソードも語り継がれている。承啓楼は、17世紀の建造で永定県のみならず、中国で最も有名な土楼で、一元切手のモデルにもなった。

「土楼王」とも称される「二宜楼」

土楼とし全国唯一「国の重要文化財」に指定されている。建造主は茶の交易で財を成し、6人の息子に一人2区画ずつ分割する目的で、12戸の居住スペースのある巨大な土楼を建築した。4階にある祖堂の裏側に扉があり、そこから外壁の内側に沿って、土楼を一周する隠し廊下がある。

春節の開門の儀式

中国の春節、午前一時。「衍香楼」では、家に財の神を呼ぶ開門の儀式が執り行なわれる。爆竹の音と共に、一斉に土楼から駆け出す男たち。風水が示す方角の地に、一番先に線香を立てたものが今年の福男となる。

中国・福建省南西部の永定県を筆頭に、約120kmの広大な範囲に点在する巨大な住居、土楼。古いものでは建造は12世紀。新しいものになると20世紀の後半に至るまで作られ、この中に先祖を同じくする一族のみが数世代にわたり生活を営んでいる。土楼には4世紀以降、北方の黄河流域から戦乱を避けて南下してきた客家(はっか)という漢民族の血を引く一族が暮らしている。一つの土楼に最大800名以上が暮らした巨大土楼もあり、その存在は時を越えて文書にも記録されてきた。

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