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BACK NUMBER #725 2020.7.25 O.A.

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神奈川フューチャードリームス!夢を追い続ける男達【前編】
2019年7月新たな球団が産声をあげた。神奈川フューチャードリームス。2006年に発足し、関東と信越地方を中心に11球団で構成された独立リーグ、「ルートイン・BCリーグ」に新規参入を果たしたのだ。運営するのは、全国チェーンを展開する、藤沢市の釣り具店のグループ。野球を通して地域に貢献したい。その情熱が、彼らを動かしていた。だが、一方で厳しい現実にもさらされていた。年間の運営費は1億を越す。テレビなどの放映権収入があるNPBとは異なり、そのほとんどを自力でスポンサーから集めなければならない。神奈川県で20年続いているバス会社は、チームの方針に賛同し、バスを無償で提供しくれることになった。だが、スポンサー集め最大の難関は、経営の屋台骨、ユニホームスポンサー探し。場所や大きさによって値段が異なり600万円から高いものだと3000万円にもなる。チーム作りにも動きがあった。初代監督に選ばれたのは、鈴木尚典。名門・横浜高校で4番を務め、DeNAベイスターズではマシンガン打線で不動の3番として活躍し、2年連続で首位打者を獲得。神奈川県が生んだスーパースターだ。肝心の選手集めは、既存の球団に所属する選手を優先的に獲得することが出来る分配ドラフト。そして、11チーム合同で行われたトライアウトで総勢23名の戦力を整えることが出来た。そんな新チームがまず行ったのは、地元での野球教室。小学生以下の子供たちとの触れ合いから、中学生への実技指導に至るまで、地域の人々との交流を深めた。年が明け2月に入ると、自主トレが開始。無料で借りることが出来た、藤沢市内の高校のグラウンドが練習場だ。国内に4つある独立リーグは、いわば「プロ予備軍」発足から15年で100人以上をNPBに送り込んだ実績がある。選手たちが、決して十分とは言えない環境で打ち込めるのは、皆にNPBという目標があるからだ。そのNPB入りに、執念を燃やす男…前田大佳投手。筑波大学を卒業後、独立リーグの栃木ゴールデンブレーブスで3年を過ごした。チームの優勝も経験し、自身も完封勝利を含む5勝を挙げるなど、まずまずの成績を残したが、NPBから声はかからず、神奈川に移籍。藤沢市内のアパートで一人暮らしをしている。藤沢市内のアパートで一人暮らしをしている。家賃は駐車場込みで7万円。食事は自炊が中心。タンパク質を多く取り入れることを意識しながら一食を300円以内におさえる工夫をしている。生活は決して楽ではない。球団からの給料だけでは生活が出来ず、足りない分はポスティングのアルバイトで補っている。時給は1100円、練習後の疲れた体にムチを打ち、月に10日程出勤、およそ4万円の収入になる。前田はスポーツ推薦ではなく、一般受験で筑波大学に進学。教職の免許を取得するなど、野球以外の選択肢も存在した。それでも、前田がNPBにこだわるのは大学卒業時にもらった寄せ書きに理由があるという。大学では最速148キロの速球を武器に躍進。2年生で先発の座を勝ち取った。このままならプロに行けるかもしれない…前田は自身に満ち溢れていた。しかし、大学2年の冬に右ひじの靭帯を断裂。健を再建するトミージョン手術を受けたが、その後卒業するまで、一度も投げることが出来なかった。“いつか見返してやる”その思いで前田は大学卒業後、独立リーグ入りを決意。“悔しさの原点”あえて飾っている大学卒業時にもらった寄せ書きを見るたびに自分を奮い立たせてきた。
開幕を一か月後に控え、早くも開幕投手に指名された前田。チーム内で行われた初めての紅白戦に登板。自慢の速球に加え、新たに覚えた、カットボール、チェンジアップが冴え、三振の山を、築いた。そして、コロナ禍の中、無観客で迎えた、運命の開幕戦…後半に続く。
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