バックナンバー:バース・デイ

BACK NUMBER #706 2020.3.7 O.A.

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ボートレース界のニューヒロイン大山千広 母と二人三脚の挑戦
一見、アスリートには見えない容姿、雑誌の取材にも笑顔で答える一人の女性。その女性は水上の格闘技と云われるボートレース界で注目を集めている女性レーサー大山千広(24)だ。現在、1600人前後の選手がしのぎを削るボートレースの世界。その内で女性レーサーは17歳から60歳までおよそ200人。大山は去年1年間で賞金をおよそ5,600万円獲得、賞金女王となった。経験がものをいうボートの世界で、デビューからわずか5年目での快挙だった。大山がボートレーサーになったのは一人の女性レーサーへの憧れからだった。その選手は千広の母である博美さん。最高クラスA1級で活躍、生涯獲得賞金4億円を超えるスター選手だった。母は千広が小学5年の時に離婚。当時すでにボートレーサーだった博美さん。子供を実家に預け全国の戦いの場に出かけた。レース期間中は宿舎に入ることが義務付けられ、家族に連絡さえも許されない。レースに勝たなければ賞金が入らない、勝たなければ娘を育てられない。その逞しさは、やがてどんなヒーローよりもかっこいい憧れの存在となった。千広は高校卒業後、迷わずボートレーサー養成所の門を叩いた。しかし、その訓練の厳しさは想像以上のものだった。辞めたい…そう母に電話をしたことがあった。千広を思いとどめさせたのは母の手紙だった『千広が選手になれたら、私と一緒に走ってください。同じ“夢”を見てみたいです』母のエールを糧に卒業し、千広は19歳でプロの世界へ。デビューから3か月、憧れのレーサーの母と同じレースに出場することになった。注目を集めた母娘対決、母は2着、千広は全く歯がたたず最下位だった。この時千広は先を走る母の姿にプロの厳しさを痛感したという。そして、その後も1年近く不甲斐ない成績が続く。苦しむ娘に、母は厳しく接したという。千広は結果が出せない中、ひたすらスタートやターンを徹底練習しプロペラ加工の技術向上に取り組む毎日を送った。やがて、そんな彼女に大きな転機が訪れる。それは3度目の母娘対決となったレース。それまでの練習を生かした好スタートから最初のターンで一気に母を抜き去り1着でゴール。この結果に母は嬉しさと共に同じプロのレーサーとして負けたくないという複雑な思いもあった。これを機に、これまで勝てなかったのが嘘のように千広の快進撃が始まった。デビュー3年目で初優勝、翌2018年には優勝3回の好成績、ついに母と同じ最高クラスA1級に昇格しトップレーサーの仲間入りを果たした。眩いほどに成長した娘の姿を見届けた母は現役引退を決めた。母に、そして憧れの選手に最大の恩返しが出来るチャンスがやってきた。女子レーサーNo.1を決めるレース。実はこの大会、母・博美さんは18回出場するも一度も優勝する事が出来なかった。母が千広に送った手紙に書かれていた夢。それがこの大会での優勝だった。千広は並み居る強豪を破り史上最年少で見事に優勝。母の手紙に記された“夢”を果たしたのだ。母が18回挑み果たせなかった“夢”を…。
母に憧れボートレースを人生の舞台に選んだ大山千広24歳。次なる夢は女子レーサーとして日本最高峰のレースSG制覇。彼女が男子に打ち勝ち、ボートレース界の新たな歴史を作る日を、待っている。
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