バックナンバー:バース・デイ

BACK NUMBER #705 2020.2.29 O.A.

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満身創痍で引退した関取たち…家族の為に必死に生きる第二の人生
2020年1月場所、徳勝龍が幕内最下位の地位で優勝という波乱の幕開けとなった大相撲。他にも炎鵬、正代など続々とニューヒーローが誕生している令和の相撲界。炎鵬など、デビュー当時、あまり注目されなかった男たちが今、脚光を浴びている。その陰で、鳴り物入りでデビューしたものの人知れず引退した男達がいる。アマチュア時代の栄光は大きなプレッシャーとして襲い掛かる。戦いに敗れ、順風満帆な相撲人生からこぼれ落ちたエリート力士の第二の人生を追った。
黒潮が迫る高知県の海岸を歩く一組の夫婦。夫の柳川信行さんは、少年時代からこの浜でトレーニングに励み、名門・日大相撲部に進み学生横綱として活躍。地元の期待を背負って相撲界に進み、増健のしこ名で37歳まで現役を続けた。ケガの影響もあり、その実力を発揮できずに幕下と十両を行き来する力士生活。2004年の3月場所で現在の横綱・白鵬に敗れ4度目の幕下陥落、その後は後輩にも次々と追い抜かれ十両に返り咲くことは出来なかった。幕内に一度も上がれぬまま38歳で相撲界から引退、故郷の高知県に帰ってきた。失意の果てに、故郷へ帰った男が、やっとの思いでたどり着いた、生き甲斐。子供のいない夫婦の夢は地元の子供たち。少年時代の師匠に誘われた、地元少年相撲クラブでの指導だ。彼は自分の経験を伝えようと、日夜奮闘している。世の中に出て恥ずかしくない子供を、夫婦で育てたいと明るく語ってくれた。増健は現在、水産卸会社に就職。夜8時から翌朝まで海産物を搬入する仕事に就いている。
そしてもう一人…。横綱・白鵬がその才能にほれ込んだ一人の力士がいる。その力士の名は大喜鵬。彼は高校時代から無敵の強さを誇り、大学時代には19個ものタイトルを獲得するアマチュア相撲のエリート。大相撲入門後、わずか8場所で幕内昇進を果した。しかし、その勢いに急ブレーキをかける悪夢が襲い掛かった。それは、入門から3年経った、25歳の時だった。突然、体重が半年余りで25キロも減少し、両手に力も入らない。それはバセドウ病』という、手足の震え・体重減や倦怠感を生む甲状腺の病だった。番付も一気に三段目まで落ちた。大喜鵬は、このまま終わることは出来ないと投薬治療を開始した。歯を食いしばって、稽古に取り組んだ。すると、徐々に症状が改善、からだに力が、戻り始めたという。そして1年の期間を経て遂に十両復帰を果たす。そんな喜びも束の間、大喜鵬に再び病魔が襲い掛かった。病院で告げられた病名は『後縦靭帯骨化症』背骨を通る靭帯が骨のように固くなり神経を圧迫する難病だった。このとき結婚から1年目、長男を授かったばかりだった。我が子に、相撲を取るパパを見せるのが、この時の夢だった。その夢のためには、手術が必須。だが、手術すれば、復帰に2年はかかり、しかも、相撲が出来るまで回復するか、保証は出来ないと、医師に告げられた。休めば、給料は、ほとんど出ない。そして土俵から降りる決断を下した大喜鵬は2019年9月に引退届を提出。現在は人材派遣会社で汗を流している。
栄光や肩書にすがることなく新たな生きがいを見出し、今を生きる男たち。相撲で培った強い精神力で人生を切り開いていく、そんな彼らの第二の人生を応援したい。
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