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BACK NUMBER #702 2020.2.8 O.A.

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幕内最軽量力士 炎鵬晃!人気力士の1月場所に密着 《後編》
いま大相撲界で若手注目株の一人、炎鵬晃25歳。自身初の幕内上位陣との対戦となった1月場所、巧みな取り組みで見事に勝ち越しを決めた。しかし、その裏で身長168センチ・体重99キロの幕内最軽量の体は悲鳴を上げていた。
2020年1月2日、石川県の実家に帰省していた炎鵬は、高校時代からの友人と初詣に出かけた。恒例となっているおみくじを引く。大吉を引き無邪気に喜びを表す。そして絵馬には“強さを示して角界を代表できる力士になりたい”と記した。
東京に戻った炎鵬は、同じ一門の友綱部屋に出稽古に訪れた。自分の倍近い体の元関脇・魁聖や幕内経験者相手に、本番さながらの激しい取り組みをこなす。仕上げは横綱・白鵬とのぶつかり稽古、その長さは異例の10分にも及んだ。15日間の本場所は、圧倒的に小さな体の炎鵬には想像が出来ぬ過酷な戦いだという。そして一番怖いのは、やはりケガだという。初土俵から3年、まだ休場の経験はない炎鵬だが、一度、その危機が迫った場所があったという。それは2019年の大阪場所、初日から3連勝で迎えた4日目、琴恵光との一番で投げを打たれ右肩を強打。激痛が襲い、眠れない夜を過ごした。しかし、翌日からもテーピングで肩を固め強行出場して8勝7敗で勝ち越し、幕内昇進を勝ち取った「大きな場所となった。あの頑張りが今の自分の成長につながったと思います」と語る。
自己最高位の前頭5枚目で迎えた2020年1月場所。横綱・大関との対戦が待ち受ける15日間の戦いの日々が始まった。体重差70キロの相手を投げ倒し白星スタート。4日目の朝、稽古場の土俵に炎鵬の姿が無かった。トレーナーから電気治療を受けていたのだ。初日の取り組み後に感じていた首の痛みが、前日の取り組みで悪化したのだ。本来の相手の懐に入る相撲が影を潜めてしまい、中日を黒星先行で迎えてしまった。移動の車の中でも常に氷で首を冷やす。痛みは一向に収まらなかった。8日目の対戦相手は、ここまで2横綱を破り、6勝1敗と好調、同郷の先輩・遠藤だ。取り戻した気迫と執念で押し切った。「まだ信じられない。やっとこの位置まで来たんだと感じる」翌9日目、初の大関戦となる豪栄道との戦いを激戦で制した。それは千代の富士・舞の海以来、体重100キロ未満の力士が大関に勝った3人目の快挙だった。12日目、相手の懐に入り元大関・高安を渾身の下手投げ。これで1大関2関脇を破り、ついに勝ち越しに王手をかけた。その夜、兄弟子担当の鍼灸師に来てもらい針治療を2時間にわたって行った。初日から首の異変を感じていた炎鵬の体は、いつ悲鳴を上げてもおかしくない状態だったのだ。同世代の小結・阿炎を素早い攻めで破り、ついに勝ち越しを決めた。怪我を抱えながら、15日間を戦い抜いた、小兵力士・炎鵬。大柄な力士を打ち負かすその姿に、ファンは魅了された。
15日間を戦い抜いた炎鵬晃。彼の長い戦いは、まだ始まったばかりなのかもしれない。絶対に諦めないその不屈の魂で、次なる目標、三役を目指し、突き進んで欲しい。
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