バックナンバー:バース・デイ

BACK NUMBER #656 2019.2.16 O.A.

バックナンバー
元力士たちの第2の人生・角界の苦労人が驚きの転身
2019年1月。横綱・稀勢の里が現役を引退して年寄り・荒磯を襲名した。だが、現役を引退し、協会に残れるのは僅か5%しかいない。引退を決意した多くの力士たちは、新たな世界で生活の糧を求めることとなる。その中に、輝かしい学生時代の実績を誇り、周囲からの期待を背負い角界の門を叩いた二人の元力士がいた。
一人暮らしの部屋で、千秋楽の相撲中継をテレビ観戦する男がいた。現役時代には、2019年1月場所で優勝した玉鷲から2度の白星を挙げている元・大岩戸だ。新生活を始めてから8か月、独りきりの自炊生活にもようやく慣れ、体重も30キロ以上減ったという。彼は、故郷の山形で小学4年生の時に相撲を始めた。近畿大学では主将を務め、学生横綱にも輝くなどエリート街道を走ってきた。入門後、期待に違わず2年で十両昇進を遂げる。その後、前頭16枚目に昇進を果たすが、幕内での取り組みはこの場所だけとなってしまう。その原因は度重なるケガだった。腰痛に苦しみ続け、更に稽古中に眼底骨折の大ケガに襲われたのだ。大部屋生活となる幕下まで番付を落としてしまった。その後、4年間必死に頑張るものの自身の限界を悟り、2018年6月に36歳で引退を決めた。大岩戸が第2の人生として選んだのは、従業員3人の金属リサイクル会社。大学時代の先輩からの誘いだった。大型免許を取得し、関東一円を走り回っている。安定した収入が得られる有難みをかみしめているという「とにかく辛抱。きつくとも絶対に乗り越える」彼を支えているのは、力士時代に学んだ、なにくそ魂だ。
そして、もう一人。飼育小屋の中で、話しかけながら山羊の世話をする男がいた。同じ場所で横綱白鵬と初土俵を踏んだ元・剣武だ。彼も高校では関東大会、大学では全国大会で優勝を遂げた相撲エリートだった。序の口優勝を果たし順調なスタートを切ったが、彼も度重なるケガに悩む。幕下に上った時に更に悲劇に襲われる。網膜剥離だ。強靭な肉体をぶつけ合う、激しい稽古の代償だった。2年間で4度の手術、医師からこれ以上相撲を続けると失明の可能性があると告げられた。しかし、剣武はあきらめなかった。31歳7か月で悲願の関取の座を掴む。しかし、1年後、再び網膜剥離に襲われ引退を余儀なくされた。現在では、玄関先でお客を迎える元・剣武の姿がある。女将は妻の愛さん。夫婦で実家である創業200年の老舗旅館を継いだのだ。12代目となった剣武は色々なものに挑戦していた。土俵型の露天風呂を作ったり、10頭の山羊と触れ合うレジャー農園を開園、横綱級の大型トラクターを導入して自らの運転で秩父の雄大な自然を楽しんでもらう接客サービスなど数々のアイデアを考えていた。その結果、プロが選ぶ、日本のホテル・旅館100選に様々なアイディアが評価され、企画部門で入選するまでとなった。
二人の新たな戦い、土俵で学んだ負けじ魂で、第2の人生をたくましく生きる彼らを応援したい。
[BACKNUMBER]
banner_AD
Loading…

SNS

TBSトップページサイトマップ Copyright© 1995-2019, Tokyo Broadcasting System Television, Inc. All Rights Reserved.