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BACK NUMBER #647 2018.12.8 O.A.

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熱血先生が流した涙…悲劇と奇跡の壮絶人生 名門ライバル校との決戦
奈良県で最も人口が少ない御所市。国から過疎地域にも指定されているこの市に全国でも屈指の強豪ラグビー高校がある。奈良県立御所実業高校ラグビー部。部員102名。これまでに全国大会準優勝3回、今年10月に行われた国体では優勝を果たしている。今年こそ全国制覇を。そんな人口の少ない市の公立校を強豪校へと育て上げたのは、監督の竹田寛行(58)。その指導ぶりはまさに熱血。そんな竹田を慕い、県外から入学、寮生活を送る生徒も少なくない。1つの寮では収まり切らず、竹田は身銭をきって自宅の2階を寮に改造。生徒たちの食事の世話は、竹田の妻・光代さんが行っている。御所実業の監督に就任して30年。その歴史は部員わずか2名からのスタートだった。
社会人ラグビーの選手として活躍していた竹田が、初めて体育教師として御所実業(旧:御所工業)に赴任したのは28歳。しかしその時は、部員わずか2名だったため、5年間、公式戦に出場する事すら出来なかった。当時、御所は地域きっての不良学校。そのありあまるエネルギーをラグビーに向けさせたい。竹田はそんな生徒たちを積極的にラグビー部に誘った。ほとんどラグビー未経験者だったが、竹田の熱心な勧誘により部員は総勢27名となった。しかし翌年、予想だにしない悲劇が…。練習試合で相手とスクラムを組んだ時、1人の選手が頚椎を損傷。重症だった。そして2か月後、帰らぬ人となってしまった。その選手は竹田が真っ先にラグビー部に引き入れた生徒。『自分がラグビー部に誘わなければ…』竹田は自らを責め続けた。ラグビー部は無期限の活動停止。しかし状況を変えてくれたのは、亡くなった生徒の父親の言葉だった。
『ラグビー部だけは潰さんといてや…』
そして、ある思いを胸に竹田は部を再開。亡くなった子の思いも一緒に花園へ。しかしその願いを叶えるためには、越えなければならない壁があった。同じ奈良県に全国大会出場62回、全国制覇6回という高校ラグビー界きっての名門・天理高校がいたのだ。天理の特徴は、日本一早いと言われるパスを華麗につなぐ展開ラグビー。その天理に勝つため竹田は、押して押して押しまくるパワー溢れるラグビーを徹底して教え込んだ。スピードでは敵わない。ならばスクラムやモールなど、チーム一丸となってトライを奪おうという作戦だ。そして5年後の1995年、御所は県予選で決勝まで勝ち進んだ。ベンチには、5年前に亡くなった息子の遺影を持ったお父さんの姿も。もちろん相手は天理高校。ここまで御所は予選で天理に1度も勝ったことがない。しかしこの日は違った。打倒・天理に向け鍛え続けたパワープレーで攻め続け、見事勝利。するとこの年から、奈良県予選の決勝は、実に23年連続同じカード。いつしか2校は『宿命のライバル』と呼ばれるようになっていた。
2018年、御所は花園で悲願の全国制覇を目指している。現在58歳の竹田は、定年まであと2年。自分たちの手で竹田監督を花園で胴上げする。それが選手たちの最大のモチベーションだ。全国大会奈良県予選まで3週間を切ったある日、御所は最後の練習試合を昨年の全国準優勝校・大阪桐蔭と行った。全国制覇を狙うには避けて通れない相手。しかし、試合開始から相手にパスをしてしまうなど不用意なミスを連発。最後まで1点も奪えず、24-0と完敗した。竹田はそんな選手たちにあえて危機感を煽る。実はここ2年、御所は連続で天理を破り、花園での全国大会に出場している。そのため選手の間で“天理にはいつでも勝てる”という慢心を引き起こしているのではと危惧していたのだ。この日を境に選手たちの目の色が変わった。練習中、選手同士で天理を意識した言葉が増えた。
そして迎えた県予選決勝。対戦カードはもちろん御所vs天理。試合は前半3分、御所が先制。しかし天理も怒涛の攻撃を仕掛けてくる。すると前半12分、御所にアクシデントが…。チームの中心選手が激しいタックルを受け負傷退場。すると前半終了間際には天理にトライを決められ、逆転を許してしまった。ハーフタイムで檄を飛ばし、選手たちを鼓舞させる竹田。だが後半に入ると天理の攻撃に押され、点差は10点に。ここで負けるわけにはいかない。すると後半23分、御所にチャンスが。トライを決めれば一気に点差は縮まる。しかし、天理も見逃すわけにはいかない。トライ直前、タックルを受けた御所はボールをこぼしてしまった。そのまま試合終了となり、悲願の全国制覇に向けた御所実業の戦いは、宿命のライバルに阻まれた。
わずか2名の部員から全国レベルの強豪に育て上げた熱血監督・竹田寛行。悲願の全国制覇への挑戦はあと2年。生徒を愛し、ラグビーを愛するその戦いは、これからも続く。
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