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BACK NUMBER #622 2018.6.9 O.A.

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独占密着!新大関・栃ノ心 誕生の舞台裏
大相撲・5月場所後、大関昇進を成し遂げた栃ノ心(30)。今この男が『角界の主役』と呼んでも過言ではないだろう。17歳で言葉も解らない国にやってきた若者が、ここまで戦い続けることが出来たのは、家族のように支えてくれた親方の存在があった。13年にわたる師匠と弟子の絆。名門・春日野部屋56年ぶり、大関誕生の舞台裏に独占密着した。
今から13年前、17歳の栃ノ心は母国のヒーロー黒海に憧れ、単身で来日し、春日野部屋の門を叩いた。サンボや柔道で鍛え上げた体を見て親方は一目で惚れ込んだ。しかし、当時の春日野部屋には外国人力士がおらず、言葉の解らない栃ノ心は、日常生活さえ難しいものだった。このままでは直ぐに辞めてしまうと危惧した親方は、自ら通訳の出来る人が居ないか探した。その後、入門から2年で新入幕、更に2年後には小結に昇進を果たすなど期待の力士に成長した。そんな彼に2013年の名古屋場所で悲劇が起こる。相手を吊り上げた際に右膝前十字じん帯を断裂、全治6か月の重症を負ってしまう。手術を余儀なくされ、復帰には8か月かかった。その間、3場所を休場したことで、番付は十両より下、幕下55枚目まで下がってしまった。幕内から幕下に陥落して、復活した例はほとんどない。名門部屋の出世頭から、どん底まで落ちた。しかし、親方は栃ノ心の復活を信じていた。
「お前には未来がある」
親方の言葉は、明日のことすら見失っていた彼の心に響いた。栃ノ心は、1年半をかけ再び幕内に復活し、30歳になった2018年の初場所で見事優勝。幕下まで落ちた男の優勝は史上2人目という快挙。軌跡を起こした弟子と、支え続けた師匠はカメラの前で共に喜びあった。
現在、都内で一人暮らしの栃ノ心は、部屋で稽古を終えると自宅まで自転車で帰る。夜は自炊することが多く、冷蔵庫にも食材がたっぷり。包丁裁きも手馴れたものだ。これが192cm、176kgの力の源だ。
いよいよ大関取りのかかった5月場所。親方から指摘された立会いを修正し、二桁勝利を目指す。10日目、この日は親方の56歳の誕生日。見事10連勝したという嬉しい報告ができた。そして、26度目の対戦となった横綱・白鵬との一番。横綱に堂々たる力相撲を挑み初めての白星となった。結局、栃ノ心は5月場所を13勝2敗で優勝こそ逃したものの30歳で初めて手にした大関とりのチャンスで大関昇進を決めた。
伝達式当日。口上で自分の思いを伝えられるように何度も練習をする栃ノ心。そしてついにその時がやってきた。
「親方の教えを守り、力士の手本となるように稽古に精進します。」
力士の口上に親方という言葉が入ったのは、初めてのことだった。
言葉もわからない異国で、大きな挫折を乗り越え、相撲界を支える力士の1人となった栃ノ心。新大関として綱とりを目指す新たな戦いがこれから始まる。
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