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BACK NUMBER #619 2018.5.19 O.A.

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いじめられっ子から世界王者へ ボクシング・田口良一
こんなボクサーをご存知だろうか?WBA・IBF世界フライ級統一王者の田口良一(31)。現在、世界チャンピオンの座を7度も防衛している男だ。日本人ボクサーの世界王座防衛記録は、1980年に具志堅用高が記録した13度。その後、山中慎介・長谷川穂積など名チャンピオンがその記録に挑戦したが、高い壁に阻まれ記録更新することなく引退して行った。現役日本人の世界チャンピオンは7人。その中で、最も防衛回数が多いのが田口だ。5月20日、8度目の現役最多防衛を目指し、世界タイトルマッチのリングに立つ田口良一の舞台裏に迫った。
ボクサーであれば誰でも夢見る世界チャンピオン。田口はその夢を28歳の時にかなえた。リングを降りれば優しい顔立ち…世界一強い男とは大きなギャップがある。家賃10万円のアパートに住み、趣味は携帯ゲームだという。彼の最大の武器は長いリーチから繰り出す左ボディ。その上、相手のパンチももらっても前へ出る強靭な精神力を併せ持つ田口は、連勝街道を驀進。2017年、2つの団体の統一王者にもなった。
小学生時代、いじめられていた田口は、漫画の主人公に憧れてボクシングジムの門を叩いた。2006年、19歳でプロデビューした田口は、翌年、ライトフライ級で全日本新人王を獲得。その後、田口はランクを上げ、日本王者を狙っていた。その時、高校を卒業したばかりの1人の男がジムに現れた。当時アマチュアボクサーだった井上尚弥だ。そして大胆にも当時日本ランク1位だった田口とのスパーリングを願い出た。すると、既にプロで20戦近く戦っていた田口が3ラウンド目でダウン。さらに防戦一方の田口。これをみたセコンドがスパーリングを止めるほどだった。この時味わった悔しさを田口は今も忘れられない。必死に積み上げてきた自分のボクシングを6歳も年下の相手に簡単に崩された。普通ならボクシングへの意欲を失ってもおかしくない。しかし田口は違った。この屈辱に落とし前をつけるには、井上を上回るボクサーになるしかない。そんな思いで歯を食いしばり、2013年、ついに日本王者を獲得。その約4か月後、初の防衛戦で戦うことになった相手は、20歳になった井上尚弥だった。プロデビューわずか4戦目でのタイトルマッチ。挑戦者にもかかわらず天才と言われ、井上の圧勝が予想されていた。しかし田口も一歩も譲らなかった。戦前の予想を覆し、試合は判定に。結局、田口は敗れ、王座を失ったが「井上がKO出来なかった男」として名をあげた。田口にとって今もこの戦いが支えになっているという。そして、28歳で夢である世界チャンピオンの座に君臨。しかし、その道のりは、スター街道をひた走る井上とは全く違う。地道な努力を重ね、泥臭く王座を守り続けているというものだった。
ある合宿。田口はボクシングの技術的な練習は一切せず、ただひたすら走り込む。その距離、なんと1日50キロ。フルマラソン以上の距離を連日走り続ける。徹底したトレーニングで鍛え上げた強い足腰や体幹が田口のボクシングの礎だ。
2017年12月31日、日本中に轟いたIBF世界チャンピオンとの王座統一戦。見事勝利した田口は、日本人3人目の統一王座となった。この試合は、あの井上尚弥や村田諒太らの試合を上回る、2017年度、年間最高試合に選ばれる高い評価だった。
幼い頃、いじめられっ子だった男が世界チャンピオンとなり、日本人初の統一王座防衛戦に挑む。31歳の不屈の戦いから目が離せない。
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