バックナンバー:バース・デイ

BACK NUMBER #614 2018.4.14 O.A.

バックナンバー
新時代の名将・工藤公康の隠された情報戦略の舞台裏に密着
強いチームには優れた監督がいた。ID野球で弱者を強者に導いた野村克也、闘将と呼ばれ強烈なリーダーシップを発揮した・星野仙一。様々なタイプの監督がその手腕でチーム作りを行い、実績を挙げて来た。しかし、この男の手腕は謎に包まれている。福岡ソフトバンクホークス監督・工藤公康(54)。監督になってわずか3年の間に2度の日本一。実績は十分だ。恵まれた戦力。だが、巨大な戦力ゆえに指揮官が抱える悩み。そして工藤は、何を考えいかに戦うのか?密着取材で見えてきたのは、常識を超えた驚きの戦略だった。
2018年キャンプイン直前、これまでカメラが一度も入ったことの無い場所の撮影が許された。そこは、工藤が自宅とは別に仕事用に借りている部屋。そこは、テレビモニターが6台も並ぶ驚きの光景だった。1日最大6試合行われるプロ野球中継を6台のハードディスクをフルに使い、全て録画。ソフトバンクはもちろん、パ・リーグ全試合、さらにはセ・リーグまで入念にチェックする。日夜、全球団のピッチャーを分析。仕事の域を超えたもはやライフワークだ。納得するまでとことん追求する。そして自分で得たデータを現場にフィードバックする。そんな自分のことを工藤は「野球オタク」と称する。その誰にも負けない探究心は、我々が密着していたオフの時期、意外な場所で発揮されていた。
2017年12月、アメリカ・アリゾナ州。それは、チームを更に強くするための旅だった。ケガによる選手の離脱はチームの成績を大きく左右する。分厚い選手層を誇る福岡ソフトバンクも決して例外ではない。それを防ぐにはどうすればいいのか?工藤はその最新の方法論を求めていた。訪ねたのは或るトレーニング施設。ここでは様々な専門家がチームを組み、現場に復帰するまでのプロセスをサポートする。そのため、復帰までのスピードが格段に早いという。工藤の目的はその専門家の1人、菅野圭介に話を聞く事だった。工藤も現役の頃からこだわってきた。人一倍、体を鍛えケアしてきたことが29年も現役を続けられた原動力。そう考える工藤にとって故障者をすみやかに復帰へ導くことが、監督としての大事な仕事の1つだった。そのために一番大切なこととは、ケガ人に関する情報を監督、コーチを始め、関わるスタッフが共有する。それは、分野ごとにバラバラになりがちな日本とは、全く違う発想だった。
2018年2月、福岡ソフトバンクホークス、キャンプイン。アメリカで学んだ情報共有をチームに浸透させようとする工藤の姿があった。ケガに関わることに止まらず、練習内容や選手個々の改善点なども、スタッフ全員が共有するよう意識づける。そのために、コーチミーティングを定期的に開催。この日は、1軍から3軍まで全ての投手コーチが集まり計44名いる投手について3時間にも及び話し合った。しかし、監督の1日はまだ終わらない。午後10時、集まってきた情報の整理を自ら行いまとめる。その日、誰に何を教えたのかを共有することで、人によって言うことが違うなど、選手が混乱しないようにする。というのも、わずかな指導法の行き違いで、ケガに繋がるということもあるからだという。
そして迎えた2018年のペナントレース。主力選手がケガで離脱など、チーム状態は万全ではない。しかし、その一方で、工藤がキャンプから取り組んできた対策も生き始めている。故障者にも絶対に無理はさせず、最短で復帰できるそれぞれのプログラムを指示。打つべき手は打っている。シーズンは始まったばかり。工藤は1年の長い戦いを見据えている。自らケガ対策にまで乗り出した、福岡ソフトバンクホークス監督・工藤公康。新時代の名将として、その名が球史に刻まれる日が来るのも遠くないのかも知れない。
[BACKNUMBER]
banner_AD
Loading…

SNS

TBSトップページサイトマップ Copyright© 1995-2021, Tokyo Broadcasting System Television, Inc. All Rights Reserved.